飲み始めの5分で決まる授乳のコツ|ミルク拒否・哺乳瓶拒否を減らす「最初のひと工夫」
「最初は飲むのに、すぐに嫌がって泣いてしまう」「哺乳瓶をくわえた瞬間にそっぽを向く…」そんなミルク拒否・哺乳瓶拒否の相談はとても多いです。
結論から言うと、授乳の流れは“飲み始めの5分”でほとんど決まります。この最初の5分で、
- 環境(音・匂い・姿勢)
- 哺乳瓶のくわえさせ方
- ミルクの温度・ペース
を整えてあげることで、ミルク拒否や「飲み始めてすぐ泣く」場面がぐっと減りやすくなります。
この記事では、飲み始めの5分でできる具体的なコツと、月齢別のポイント、よくあるつまずきパターンを丁寧に解説します。今日から試せる小さな工夫ばかりなので、できそうなところから取り入れてみてくださいね 😊
ミルク拒否全体の原因や対策を先に整理しておきたい方は、ミルク拒否ガイド【保存版】|原因・対策・哺乳瓶選び・月齢別サポートまとめもあわせて読んでいただくと、全体像がつかみやすくなります。
まずは結論:授乳は「飲み始めの5分」でほぼ決まる
授乳は長くても20〜30分ほどですが、赤ちゃんの「飲むスイッチ」が入るのは最初の数分間です。この時間帯に、
- 赤ちゃんの覚醒度(眠気・空腹の具合)
- 抱っこの姿勢と哺乳瓶の角度
- ミルクの温度と最初の一口の印象
が整っていると、自然とゴクゴク飲み進めやすくなります。
逆に、
- 最初の数口が熱すぎる・冷たすぎる
- 口にうまくフィットせず、空気ばかり入る
- 周りが騒がしくて、赤ちゃんの意識がミルクに向かない
という状態だと、赤ちゃんにとって「あまり気持ちよくない授乳」となり、途中で泣く、哺乳瓶を舌で押し出す、そっぽを向く…といったミルク拒否や哺乳瓶拒否につながりやすくなります。
飲ませ方全体の基本は、飲ませ方のコツと姿勢調整でも詳しく解説していますが、この記事では特に「最初の5分」にしぼったコツを整理していきます。
なぜ「飲み始め」がそんなに大事なの?医学的な背景
① 哺乳反射がスムーズに働くのは「落ち着いているとき」
新生児〜乳児には、口に触れたものをくわえようとする反射(哺乳反射)があります。ただし、
- 大きく泣き続けている
- 興奮して手足をバタバタさせている
- 眠すぎて半分寝ている
といった状態では、哺乳反射がうまく働かず、哺乳瓶拒否のような行動が見られます。つまり、「落ち着いた状態で飲み始められるかどうか」が、最初の5分の大きなポイントです。
赤ちゃんを落ち着かせるためのルーティン作りは、ミルク前のルーティン作り(赤ちゃんを落ち着かせる方法)でも詳しく紹介しています。
② 最初の体験が「この哺乳瓶は飲みやすい/飲みにくい」の印象になる
赤ちゃんは、くり返しの体験から「これは好き」「これはちょっとイヤ」という感覚を少しずつ学習していきます。授乳も同じで、
- くわえた瞬間に、ちょうどよい温度でスムーズに出てくる
- 抱っこが安定していて安心できる
といった体験が増えると、「この哺乳瓶=安心して飲めるもの」という印象になっていきます。一方、最初の数分で不快な経験が続くと、「哺乳瓶を見るだけで泣く」といった哺乳瓶拒否につながることもあります。
哺乳瓶そのものの相性が気になる場合は、哺乳瓶の穴の形・硬さ・流量で変わる飲みやすさや、哺乳瓶だけ嫌がる赤ちゃんの特徴も参考になると思います。
③ 授乳環境も「最初の数分」の印象を左右する
授乳環境(匂い・姿勢・温度)は、赤ちゃんの安心感に大きく関わります。授乳環境(匂い・姿勢・温度)の影響でも触れていますが、特に飲み始めは、
- テレビやスマホの音
- 急な抱き上げ方
- 強い香り(柔軟剤・香水・食べ物の匂いなど)
が刺激となりやすく、「落ち着いて飲むモード」になりにくくなります。
飲み始め前の1〜2分で整えるチェックリスト
いきなり哺乳瓶を口に入れる前に「準備の1〜2分」を意識すると、飲み始めがスムーズになります。
✔ 授乳前チェックリスト
- ☑ お腹が空いていそうか、最近の授乳間隔からざっくり見当をつけた
- ☑ 赤ちゃんが激しく泣いている場合は、少し抱っこ・声かけで落ち着かせた
- ☑ 抱っこの姿勢が安定している(首・背中がまっすぐで反り返っていない)
- ☑ ミルクの温度を「熱すぎない・冷たすぎない」程度に確認した
- ☑ テレビや強い音を一度切った/ボリュームを下げた
- ☑ 自分自身も深呼吸をして、少し肩の力を抜いた
授乳間隔の目安は、授乳間隔の目安と調整の仕方や、飲む量が少ないときの判断基準も参考になります。
飲み始めの5分|具体的な流れとコツ
ここからは、飲み始めの5分を「手順」としてイメージできるようにまとめてみます。
STEP1:0〜1分目|抱っこで「落ち着く時間」を作る
- 赤ちゃんを縦抱き・横抱きなど、いつも飲みやすい姿勢で抱く
- すぐに哺乳瓶を口に持っていかず、30秒〜1分ほどやさしく声をかける
- 手足のバタバタが少し落ち着いたところで、「今からミルクだよ」と声をかける
STEP2:1〜2分目|乳首を「口元に触れさせて」からくわえさせる
- 哺乳瓶の乳首(ニプル)を、まず赤ちゃんの上唇・口角あたりにそっとタッチする
- 赤ちゃんが自分から口を開けてくるのを待ってから、そっとくわえさせる
- 無理に押し込まず、「自分から飲み始めた」という感覚を大事にする
この「口元へのタッチ」が、哺乳反射をうながし、スムーズな飲み始めにつながります。
STEP3:2〜3分目|最初の数口は「ゆっくり・様子を見ながら」
- 哺乳瓶の傾きを調整し、最初はゆっくりミルクが出る状態にする
- ゴクゴク勢いよく飲めているか、むせないか、表情を観察する
- むせそうなときは、いったん角度を戻し、少しだけ休憩する
飲み始めで「むせる」「苦しい」が続くと、ミルク拒否につながることがあります。乳首のサイズや穴の大きさに不安があれば、月齢別乳首(ニプル)サイズの選び方を参考に、一度見直してみてもよいかもしれません。
STEP4:3〜5分目|リズムがつかめたら「一定のペース」をキープ
- ゴクッ、ゴクッ、と飲むリズムが整ってきたら、ペースを大きく変えない
- 途中で周囲が騒がしくなったら、声かけや体をさすることで「ミルクに意識を戻す」
- 表情が曇ってきたら、いったん休憩してトントンし、再度くわえさせる
このステップを繰り返すことで、赤ちゃんは「ミルク=落ち着いて飲めるもの」という感覚を少しずつ積み重ねていきます。飲みやすい角度や抱き方については、飲みやすくなる抱き方・角度の記事も参考になります。
月齢別:飲み始めの5分で意識したいポイント
新生児〜1ヶ月:姿勢と温度が最優先
- 首がまだしっかりしていないので、頭と首をしっかり支える抱き方を優先
- ミルクの温度が少し違うだけで「飲まない」ことも(大人の手首に垂らして確認)
- 授乳時間が少し長くても、「むせない・苦しそうでない」ことを優先する
この時期特有の飲みにくさは、【新生児~1ヶ月】ミルクがうまく飲めない原因にも詳しくまとめています。
2〜3ヶ月:覚醒度(眠気・空腹)に注意
- 起きてすぐ・ギャン泣き直後は、飲み始めがガタガタしやすい
- 軽くあやしてから飲み始めると、哺乳反射が働きやすくなる
- 「急に飲まなくなった」と感じたら、【2ヶ月】急にミルクを飲まなくなる原因と対策も参考に
3ヶ月ごろは、【3ヶ月】遊び飲み・途中で泣く際の対処も関係してきます。「飲み始めの5分」で遊びモードから飲むモードへ切り替える意識が大切です。
4〜6ヶ月:遊び飲み・周囲への興味が増える時期
- 手足をバタバタさせながら飲むのは、この時期によくある姿です
- 最初の5分だけでも刺激を減らす(テレビを消す・視界を少し狭める)
- 離乳食開始後は、「直前にどれくらい食べたか」も影響してくる
この時期のミルク拒否は、【4ヶ月】哺乳瓶拒否が増える理由と対策や、【5~6ヶ月】離乳食開始後のミルク拒否と対処も関係してきます。
7〜12ヶ月:人見知り・場所見知りと「飲むより遊びたい」気持ち
- 最初の5分は、まず「安心して抱っこされる時間」を少し長めにとる
- フォローアップミルク期は、食事の量とミルクのタイミングのバランスも見直す
- 知らない場所での授乳は、より静かな隅の席や授乳室を選ぶと成功しやすい
この時期の特徴は、【7~8ヶ月】離乳食とミルクのバランスで飲まない原因や、【9~12ヶ月】フォローアップミルクを嫌がる理由で詳しく解説しています。
「飲み始めですぐ泣く」よくあるつまずきパターンと対策
飲み始めの5分でよく見られるつまずきパターンと、その対策を比較表にまとめました。
| よくある状況 | よくあるNGパターン | おすすめのコツ | 関連する記事 |
|---|---|---|---|
| くわえた瞬間に泣く | すぐに哺乳瓶を押し込んでしまう | まず唇に乳首をそっと当て、赤ちゃんが自分から口を開けるのを待つ | 飲み始めてすぐ泣くときの対処法 |
| 最初は飲むが、数分でギャン泣き | 流量が多すぎてもそのまま続ける | いったん角度を戻し、げっぷや休憩を挟んでから再開 | 飲み始めは飲むのに途中で泣く理由 |
| 哺乳瓶を見るだけで顔をそむける | 泣いている最中に無理やり口へ近づける | まず抱っこで落ち着かせ、少しご機嫌が戻ってから再度チャレンジ | ミルク拒否の原因一覧 |
| よくむせる・咳き込む | 乳首のサイズを見直さずに使い続ける | 乳首のサイズ・形・流量を月齢に合わせて確認する | 月齢別乳首(ニプル)サイズの選び方 |
| 落ち着きなくキョロキョロする | テレビをつけっぱなし・スマホを見ながら授乳 | 最初の5分だけテレビを消し、声かけとスキンシップを多めに | 授乳環境(匂い・姿勢・温度)の影響 |
飲み始めの5分で意識したいミニ・チェックリスト
授乳のたびに全部を完璧にする必要はありませんが、「今日はどこを意識してみようかな?」と選ぶヒントとして使ってみてください。
- ☑ 哺乳瓶を口に入れる前に、30秒だけ抱っこで落ち着かせた
- ☑ 乳首を唇に軽く当ててから、赤ちゃんが自分でくわえるのを待った
- ☑ 最初の数口は、むせない程度のゆっくりペースにした
- ☑ 飲み始めの5分だけでも、テレビや強い音をオフにした
- ☑ うまくいかなかった時も、「今日はこういう日もある」と自分を責めないよう意識した
授乳がうまくいかないときに受診を考えるサイン
飲み始めのコツを工夫しても、次のような場合には、早めに小児科や産科外来で相談していただくと安心です。
- ・数日〜1週間以上、ほとんどミルクを飲めない状態が続いている
- ・おしっこの回数が明らかに減ってきた(半日以上全く出ないなど)
- ・体重が増えない/減っていると指摘された
- ・飲むと必ず激しくむせる、咳き込む、苦しそうな表情が目立つ
- ・元気がなく、ぐったりしている・熱がある
一時的なミルク拒否・哺乳瓶拒否は多くの赤ちゃんでみられますが、「もしかして病気かな?」と感じる時は、遠慮なく医療機関に相談して大丈夫です。
【医療者コメント】医師・産婦人科病棟看護師より
授乳の相談を受けていると、「飲み始めがうまくいかない」ことが、その後のミルク拒否や哺乳瓶拒否のきっかけになっているケース
をよく目にします。
赤ちゃんの飲み方には、
- その子のもともとの飲みやすさ・飲む力
- お口の大きさや舌の動かし方のクセ
- 授乳環境や親の緊張の度合い
など、さまざまな要素が関係しています。そのため、「ママ(パパ)のやり方が悪いから飲まない」ということは決してありません。
産婦人科病棟で多くの親子を見てきた看護師の感覚としても、
- 最初の数分間だけ、少しゆっくり整える
- 赤ちゃんが自分からくわえるのを待つ
といった小さな工夫で、「ぐっと飲みやすくなった」というケースが多いです。
それでもうまくいかないときは、授乳姿勢や乳首の選び方を一緒に確認するだけで改善の糸口が見つかることもよくあります。ひとりで抱え込まず、健診や外来で相談してもらえたらと思います。
育児に取り組むパパ・ママへ
「飲み始めの数分がうまくいかないだけ」で、一気に不安になってしまうこともありますよね。毎回の授乳がテストのように感じられて、心が疲れてしまう方も少なくありません。
授乳は、親と赤ちゃんが一緒に少しずつ慣れていく“共同作業”です。うまくいく日もあれば、そうでない日もあります。今日の記事の中から、ひとつでも「これならできそう」と思えるコツがあれば、ぜひ試してみてくださいね 🌸
この記事が役に立ったら、他の記事も参考にしてみてくださいね。ミルク拒否や哺乳瓶拒否の全体像を知りたいときは、以下の総まとめ記事を目次として利用することをおすすめします。
👉 目次:ミルク拒否ガイド【保存版】|原因・対策・哺乳瓶選び・月齢別サポートまとめ
🩺この記事の執筆・監修者
📌 執筆者:
元産婦人科病棟看護師/第一子育児中の母
📌 医療監修:
医師/乳幼児・児童発達分野にて勤務経験あり/第一子育児中の父
※個別の診断・治療を提供するものではありません。必要に応じて医療機関へご相談ください。


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