飲み始めてすぐ泣くときの対処法
ミルクを飲ませようとした瞬間に泣いてしまう。哺乳瓶を口に入れた途端に顔をそむける。これらは多くの家庭で経験する「飲み始めトラブル」です。結論として、飲み始めてすぐ泣く赤ちゃんの多くは、乳首の流量・姿勢・環境刺激のいずれかに原因があり、これらを整えるだけで改善することがほとんどです。
この記事では、飲み始めに泣く赤ちゃんの原因を明確に整理し、今日からできる具体的な対策をわかりやすくまとめました。途中で泣くパターンとは異なる特徴もあるため、
飲み始めは飲むのに途中で泣く理由
と併せて確認することで理解が深まります。
まず押さえておきたい“飲み始め泣き”の特徴
飲み始めに泣く赤ちゃんは、哺乳瓶拒否やミルク拒否の初期サインであることもありますが、多くの場合は次のような「飲みづらさ」がきっかけです。
- 乳首サイズや形が口に合っていない
- 飲み始めの勢いが強すぎて驚いてしまう
- 温度がいつもより低い/高い
- 空腹ではないタイミングで授乳している
- 姿勢が安定せず飲み込むのが難しい
- 気が散る環境で集中できない
特に生後2〜4ヶ月は飲みムラが多く、飲み始めにぐずる子が急増します。
→ 【2ヶ月】急にミルクを飲まなくなる原因
飲み始めてすぐ泣く主な原因
原因は複数ありますが、保護者が気づきにくいものを中心に解説します。
① ミルクが勢いよく出すぎて驚いている
乳首サイズが成長より早いタイミングで大きくなると、飲み始めに勢いが強く出て「えっ?」という表情のまま泣き出すことがあります。
乳首サイズの見直しは
月齢別乳首サイズの選び方
が役立ちます。
② 授乳姿勢が不安定で飲みにくい
飲み始めは、赤ちゃんが姿勢を整える前のタイミングです。体がねじれたり、頭が後ろに倒れたりすると、吸いづらさから泣くことがあります。
特に「抱っこ授乳」が苦手な子には、寝かせ気味の姿勢のほうが飲みやすいこともあります。
→ 飲ませ方のコツと姿勢調整
③ 空腹ではないタイミングで授乳している
“時間だから”と授乳している場合、赤ちゃんがまだ飲む気分でなく、口に入れた瞬間に泣くことがあります。
空腹サインの確認には
空腹じゃないときの見分け方
が参考になります。
④ 哺乳瓶や乳首への不快感
匂い・形・口当たりに敏感なタイプは、哺乳瓶を口に入れた瞬間に違和感で泣くことがあります。
特に哺乳瓶拒否が強い子は以下の特徴があります。
→ 哺乳瓶だけ嫌がる赤ちゃんの特徴
⑤ ミルクの温度が原因
赤ちゃんは温度に敏感で、いつもよりぬるい/熱いだけで泣くことがあります。温度調整の見直しは特に効果が高い対処法です。
【重要】飲み始めてすぐ泣くときの基本対処法
ここからは「これをすれば改善しやすい」というポイントを具体的に解説します。即効性が高いものから紹介します。
① 5〜10秒だけ傾斜をつけて乳首を口元に近づける
飲み始めは“勢い”が苦手な赤ちゃんが多いため、乳首を傾けすぎず、勢いが出ない状態でスタートするのが効果的です。
- 乳首の先を軽く口に触れさせる
- 吸い始めるまでミルクを満たしすぎない
- 吸えてきたら徐々に角度を上げる
② 姿勢を先に整えてから哺乳瓶を入れる
体が不安定な状態で哺乳瓶を入れると、違和感から泣きやすくなります。
姿勢の整え方のポイント
- 頭と胴体が一直線になるようにする
- お尻を支えて体が傾かないようにする
- 腕が体に密着していると安定しやすい
姿勢調整については
→ 飲みやすくなる抱き方・角度
が詳しいです。
③ 温度を普段より少し高めにする
飲み始めの泣きは「ぬるくて飲みにくい」ことが原因のケースが非常に多いです。ほんの少し温かい(40度前後)だけで飲み始めがスムーズになる子もいます。
④ 狭い場所・暗めの環境でスタートする
赤ちゃんは環境刺激に敏感です。飲み始めの時だけでも落ち着いた空間を作ることで泣く回数が減りやすくなります。
⑤ 授乳前に少し抱っこして気持ちを落ち着かせる
抱っこで心拍が落ち着くと、飲み始めの動きに余裕が出ます。「すぐ入れない」ことが逆に効果的です。
【比較表】飲み始め泣きの主な原因と改善ポイント
| 原因 | よくあるサイン | 改善策 |
|---|---|---|
| 勢いが強い | 口を開けてもすぐ離す | 乳首サイズを戻す/角度を浅くする |
| 姿勢が不安定 | 体をよじる、そる | 背中と頭の支持 |
| 空腹でない | 数口だけ飲んで泣く | 授乳間隔を調整 |
| 温度が不適切 | 最初の一口だけ拒否 | 普段より少し温かめに |
| 環境刺激 | 周りをキョロキョロ | 暗めの部屋でスタート |
月齢別|飲み始めてすぐ泣くときの特徴
【0〜1ヶ月】飲み込みが未熟ですぐ泣きやすい
新生児は吸啜(きゅうてつ)機能が未熟で、飲み始めにうまく吸えず泣くことがよくあります。
→ 【新生児〜1ヶ月】ミルクがうまく飲めない原因
【2ヶ月】飲みムラが増え、気が散りやすい時期
飲み始めだけ泣くことが特に多い月齢です。外部刺激に敏感になり、姿勢の影響を受けやすくなります。
【3〜4ヶ月】姿勢や乳首サイズの違いが顕著に影響
吸う力が強くなる反面、嫌なものは強く拒否します。乳首の選択や姿勢の調整が特に大事です。
→ 【3ヶ月】遊び飲み・途中で泣く対処
【5〜6ヶ月】離乳食開始で気分が変わりやすい
食への興味が出てきて、飲み始めのみムラが出やすい時期。
→ 【5〜6ヶ月】離乳食開始後のミルク拒否
飲み始めてすぐ泣くときの具体的な対処法
ここからは、家庭で今日から実践できる「泣かずに飲み始めるための工夫」をより詳しくまとめます。
① 最初の一口だけ“浅めの角度”でスタート
飲み始めの「勢い」に驚いて泣くケースが非常に多いため、最初の一口はミルクを乳首の先端に少量だけ満たす程度にします。吸い始めたらゆっくり角度を上げます。
- 哺乳瓶を完全に傾けすぎない
- 乳首の空気抜きが過剰に働いていないか確認
- 吸啜リズムが整うまではゆっくり動く
哺乳瓶の特性は商品ごとに大きく違うため、拒否のある場合は
ミルク拒否におすすめの哺乳瓶比較
も参考になります。
② 乳首サイズを見直す(特に3〜4ヶ月以降)
成長のタイミングより少し早く乳首を大きくすると、飲み始めに泣きやすくなります。逆に小さすぎても吸えず、怒って泣くことがあります。
目安となるサイン
- 勢いが強くてむせる → サイズを下げる
- 吸ってもミルクが出にくそう → サイズを上げる
- 途中で疲れる → 形状や硬さの見直し
詳しくは
月齢別乳首サイズの選び方
で解説しています。
③ 授乳姿勢を調整する(特に新生児〜3ヶ月)
飲み始めは姿勢の影響が非常に大きいため、赤ちゃんの体幹が安定するよう抱き方を調整します。
ポイント
- 頭と胴体が一直線になるように支える
- 仰向けすぎず、背中に軽く傾斜をつける
- 腕が脱力できる体勢にする
詳細な抱き方は
→ 飲みやすくなる抱き方・角度
④ 授乳前ルーティンを作って落ち着かせる
赤ちゃんは「切り替え」が難しく、いきなり哺乳瓶を口に入れられると混乱して泣くことがあります。授乳前に30〜60秒の抱っこで落ち着く子は非常に多いです。
⑤ ミルクの温度を微調整する
飲み始めは特に温度差に敏感。いつもの温度より少し温かいだけでスムーズに飲み始めることがあります。
飲み始めに泣くときのよくあるトラブルと解決策
① 哺乳瓶を見るだけで泣く
これは哺乳瓶拒否の初期に多い反応で、「哺乳瓶=飲みにくい」という経験が蓄積されている状態です。
対策
- 環境刺激を減らす(暗め・静かな環境)
- 最初の一口だけスロースタートにする
- 形状の違う乳首に変えてみる
② 口に入れた瞬間に泣く(数秒で泣く)
乳首形状が合っていない、温度が違う、勢いが強い、姿勢が不安定、のいずれかで起こることが多いです。
③ 数口飲んだあと泣く(飲み始めとほぼ同タイミング)
飲み込みと呼吸の切り替えがうまくいかず、「苦しい」感覚になって泣いているケースがあります。
改善策
- 首すわり前なら軽い傾斜をつけて支える
- 2〜3口ごとに少し休ませる
- 乳首サイズを一段階下げる
④ 飲み始める前から泣く
空腹でない・眠い・刺激が強い・授乳間隔が短いなどが原因です。
授乳間隔の調整は
→ 授乳間隔の目安と調整の仕方
【チェックリスト】飲み始めに泣く原因セルフ診断
以下に当てはまる項目が多いほど、「飲み込みにくさ」が原因で泣いている可能性が高くなります。
- 乳首サイズを最近変えた/変える予定がある
- 飲み始めにむせることがある
- 哺乳瓶の角度が一定でない
- 光・音・匂いに敏感なタイプ
- 飲む量にムラがある
- 空腹のタイミングでないことがある
- 授乳姿勢が安定しづらい
- いつも最初の数口だけ困っている
月齢別のポイント(後半)
前半で触れた内容に加えて、後半では「飲み始め泣きが特に起こりやすい理由」を月齢ごとに補足します。
【0〜1ヶ月】吸う動作そのものに不安定さがある
飲み始めに泣くのは珍しくなく、「吸えない → 泣く」の流れになりやすい時期です。
【2〜3ヶ月】環境刺激に敏感で、飲む前にぐずる
視力が発達し、周囲に気を取られるようになるため、飲み始めに集中できなくなることがあります。
【4ヶ月】乳首サイズ・形状の影響が大きくなる
哺乳瓶との相性が合わないと即拒否につながり、飲み始めの泣きが増えがちです。
→ 【4ヶ月】哺乳瓶拒否が増える理由と対策
【5〜6ヶ月】離乳食開始で飲むリズムが乱れやすい
ミルク量が安定しづらく、気分で飲む・飲まないを決める傾向が出てきます。
受診を検討すべき場合
飲み始めの泣きは多くが一時的なものですが、次のような場合は医療機関で相談することをおすすめします。
- ほとんどの授乳で泣いて飲めない
- むせる・咳き込むことが多い
- 体重が増えにくい
- 顔色が悪い、息が苦しそう
- 強い拒否が数日以上続く
関連ページ:
体重が増えない時のチェックポイント
/ ミルク拒否で受診すべき症状
まとめ
飲み始めてすぐ泣く赤ちゃんの多くは、“飲みづらさ”が原因です。
乳首・姿勢・温度・環境の4つを整えることで、飲み始めの泣きは大きく改善します。月齢による一時的なものも多いので、お子さんの特徴を見ながら少しずつ調整してみてくださいね。
ミルク拒否全体を整理したい場合は、こちらの記事も参考になります。
→ ミルク拒否ガイド【保存版】
【医療者コメント】医師・産婦人科病棟看護師より
■産婦人科病棟での経験から
飲み始めで泣く赤ちゃんは本当に多いものです。ほとんどは姿勢や乳首の調整で落ち着き、特別なトラブルではありません。「うちの子だけ…」と悩まなくて大丈夫です。飲み始めの泣きは、呼吸と飲み込みの切り替えがうまくいかないことが原因で起こることがあります。無理に続けず、一度休ませてから再度試すことで安全に改善しやすくなります。
💬 ミルク拒否に悩むパパ・ママへ
授乳は毎日の積み重ねだからこそ悩みも多くて当然です。うまくいかない日があってもいいし、赤ちゃんに合わせて少しずつ慣れていけば大丈夫。頑張りすぎず、あなたのペースで続けていきましょう。
この記事が役に立ったら、他の記事も参考にしてみてくださいね。
→ 目次:ミルク拒否ガイド【保存版】
🩺この記事の執筆・監修者
📌 執筆者:
元産婦人科病棟看護師/第一子育児中の母
📌 医療監修:
医師/乳幼児・児童発達分野にて勤務経験あり/第一子育児中の父
※個別の診断・治療を提供するものではありません。必要に応じて医療機関へご相談ください。


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