ミルクの飲む量が少ないときの判断基準|月齢別・状態別のチェックポイント
「最近ミルクの量が少ない気がする…」「急に飲まなくなったけど大丈夫?」そんな不安を感じたときは、まず “本当に問題があるのか” を落ち着いて判断することが大切です。
結論から言うと、ミルク量が一時的に少ないだけなら、多くの赤ちゃんでは自然に戻ることがほとんどです。ただし、月齢や体重の増え方、授乳間隔、機嫌などから「様子を見てよいケース」と「注意した方がいいケース」が分かれます。
この記事では、赤ちゃんがミルクを飲まない・量が減るときに知っておきたい判断基準を、月齢別・症状別で丁寧にまとめました。ミルク拒否や哺乳瓶拒否の原因を理解し、今日から安心して対応できるようサポートします。
具体的な月齢ごとの特徴は、新生児〜1ヶ月の飲まない原因や2ヶ月のミルク拒否の理由も参考になります。
ミルクの量が少ないときの「結論」:まず見るのは3つだけ
ミルクが少ないと感じたら、まずは次の3点を確認すれば、問題があるかどうかほとんど判断できます。
- ① 体重は増えているか(増加ペースが大きく落ちていないか)
- ② 機嫌は普段通りか(極端な不機嫌・ぐったりはないか)
- ③ おしっこの回数は1日5〜6回以上あるか
この3つがそろっていれば、ミルク量が少なくても、ほとんどは様子を見てOKなケースです。
逆に、以下のような場合は注意が必要です。
- 体重増加が明らかに少ない・横ばい
- おしっこが減っている(4回以下)
- 顔色が悪い、機嫌がずっと悪い
- 授乳の途中で泣いて飲めない(→ 飲み始めてすぐ泣くときの対処法)
ただ量が減るだけでなく「様子」に変化がある場合は、慎重な判断が必要になります。
月齢別:どれくらい飲めば「少ない」と判断する?
赤ちゃんは月齢によって胃の容量も飲める量も大きく違います。まずは、月齢ごとの目安量を知っておくと判断がしやすくなります。
月齢別の詳しい量は、月齢別ミルク適量まとめにも整理しています。
新生児〜1ヶ月
目安:1回 60〜120ml / 1日合計 600〜800ml
- 日ごとのムラが出やすい
- 眠りが深いとほとんど飲まない日もある
- 体重は生後10〜14日で出生時を超え、以降は1日25〜35gほど増えるのが目安
2ヶ月
目安:1回 120〜160ml / 1日合計 700〜900ml
- 「急に飲まない」が増える(→ 2ヶ月のミルク拒否の原因)
- 飲みムラも増えるが、機嫌と体重が安定していれば問題なし
3ヶ月
目安:1回 140〜200ml / 1日合計 750〜900ml
- 遊び飲み・途中で泣くなどが増え、1回量が安定しにくい(→ 3ヶ月の遊び飲み対策)
- 興味が周囲に向き、途中で飲むのをやめることも
4ヶ月
目安:1回 160〜200ml / 1日合計 700〜900ml
- 飲む量が減ることが多く「哺乳瓶拒否かな?」と思いやすい(→ 4ヶ月の哺乳瓶拒否)
- 体重の増え方が順調なら心配しすぎなくてOK
5〜6ヶ月
目安:1回 180〜220ml / 1日合計 700〜900ml
- 離乳食開始で飲む量が減る(→ 5〜6ヶ月のミルク拒否)
- 離乳食後のミルクは少なくて当然
どの月齢でも共通するのは、1〜2日程度の飲みムラは正常だということです。
「飲む量が少ない」かどうかを判断する5つの基準
次は、実際に飲む量が少ないときに、どこを見て判断すればよいかをまとめます。
① 直近1週間の体重増加
体重はもっとも重要な指標です。1週間単位で見るとブレが少なく、判断がしやすくなります。
| 月齢 | 週あたりの増加目安 | 注意の目安 |
|---|---|---|
| 0〜3ヶ月 | +150〜250g | +100g以下は要観察 |
| 3〜6ヶ月 | +100〜200g | +70g以下は相談を |
| 6〜12ヶ月 | +50〜100g | 横ばいなら要注意 |
② 機嫌(泣き方・活動量)
量が少なくても、元気で穏やかなら大きな問題はないことが多いです。
- 機嫌が良い → 基本は様子見でOK
- 機嫌が悪い・泣き続ける → 空腹・体調不良の可能性
③ おしっこの回数
脱水の早期サインとして非常に重要です。
- 正常:5〜6回以上/日
- やや少ない:4回程度 → 注意
- 3回以下 → 脱水の可能性あり、要相談(→ 脱水症状の見分け方)
おむつの重さもチェックポイントになります。
④ 授乳間隔の影響をチェックする
ミルク量が少ないとき、実は「授乳間隔」が原因になっているケースがとても多いです。間隔が短すぎても、逆に空きすぎても、赤ちゃんはうまく飲めません。
授乳間隔の基本の目安は、授乳間隔の目安と調整の仕方にもまとめていますが、ここでは「量が少ないときに気をつけたいポイント」を整理します。
間隔が短すぎるとき(2時間以内など)
- 前回のミルクが胃に残っている → お腹が空いていない
- 機嫌が悪くなる → 哺乳瓶拒否と誤解されやすい
- 飲む量が毎回少しずつになる(トータルは飲めているケースも)
目安:3時間前後空けると飲みやすいことが多いです。
間隔が長すぎるとき(5〜6時間以上)
- 逆にお腹が空きすぎて泣きすぎ → うまく吸えない
- 興奮して途中で飲まなくなる
- 寝ぼけて飲まないケースも
そのため、間隔が空きすぎて飲まないときは、少し早めに声をかけたり、抱っこで落ち着かせてから飲ませると飲めることがあります。
⑤ 哺乳瓶・乳首(ニプル)の影響も大きい
飲む量が少なくなったときに最も見落とされやすいのが、哺乳瓶や乳首の影響です。月齢が上がるにつれて赤ちゃんの吸う力も変化するため、成長に合っていない乳首サイズは飲む量の低下につながります。
乳首サイズが小さい(穴が小さい)場合
- 吸ってもなかなか出ない → 途中で疲れてやめる
- 泣いて嫌がる → 哺乳瓶拒否と誤解されやすい
乳首サイズの選び方は、月齢別乳首サイズの選び方で詳しく解説しています。
乳首サイズが大きすぎる場合
- 勢いよく出すぎてむせる
- 途中で泣いて飲まなくなる(→ 飲み始めてすぐ泣くとき)
- 飲む量が極端にブレる
哺乳瓶そのものが原因のケースも
素材・形状・重さは赤ちゃんの飲みやすさに直結します。
- 重くて持ちにくい(ガラス製)
- 口に合わない形状
- 飲みムラが出やすい素材
比較はガラス製とプラスチック製の比較や、飲みムラがある赤ちゃん向け哺乳瓶が参考になります。
⑥ ミルクの温度・味の変化
ミルク温度は、思っている以上に飲む量に影響します。赤ちゃんは大人より味や温度に敏感で、少しの差でも飲む量が変わることがあります。
温度が低い(ぬるい)場合
- 吸っても満足感が少ない
- 途中で口を離してしまう
温度が高すぎる場合
- びっくりして泣き出す
- その後しばらく飲みたがらない
適温は38〜40℃前後。温度調整のコツは、ミルクの温度調整テクニックで詳しく解説しています。
⑦ 授乳環境(姿勢・匂い・周囲の刺激)
授乳環境の変化や刺激が原因で、急に飲む量が減ることがあります。
よくある環境の原因
- 部屋が明るすぎる・テレビの音が大きい(刺激に気を取られる)
- 抱き方の角度が安定しない
- 授乳姿勢が変わった
- ママ・パパの匂いが気になる
特に3〜4ヶ月以降は好奇心が強くなるため、静かで落ち着いた場所のほうが飲める赤ちゃんは多いです。
授乳姿勢の改善には、飲みやすくなる抱き方・角度が参考になります。
⑧ 飲む量が本当に少ないときの対処法まとめ
まずやるべきこと
- 授乳間隔を3時間前後に整える
- 乳首サイズ・哺乳瓶の見直し
- ミルクの温度を38〜40℃に調整
- 環境を静かに整える
それでも少ないときは
- 1日のトータル量で判断(数回では判断しない)
- 朝の飲みが悪ければ、少し起こして落ち着かせてから飲ませる
- 寝かしつけ直前より、起床後〜午前中の授乳を整える
- 飲みムラは1〜2日なら正常(→ 飲みムラと量の目安)
医療的に注意が必要なサイン
- おしっこが明らかに少ない(3回以下)
- 体重が横ばい〜減少傾向
- 発熱・嘔吐・下痢などの症状がある
- 顔色が悪い・ぐったりしている
これらは、受診すべき症状でも詳しく解説しています。
【医療者コメント】医師・産婦人科病棟看護師より
赤ちゃんは日によって飲む量が上下します。1〜2日飲まないだけで大きな問題につながることは少なく、機嫌・体重・おしっこの3つが安定していれば大丈夫なことが多いです。気になる場合は、哺乳瓶や乳首のサイズを見直すだけで改善するケースもよくあります。体重増加が止まっていたり、発熱や嘔吐を伴う場合は脱水や感染症の可能性も考慮が必要です。特に尿量が大幅に減っている際には受診をおすすめします。
育児に取り組むパパ・ママへ
ミルクの量が減ると、とても心配になりますよね。でも、多くの赤ちゃんは自然にリズムを取り戻します。あなたの気づきと丁寧な観察は、赤ちゃんにとって大きな安心につながっていますよ。小さな一歩を積み重ねながら、赤ちゃんと一緒に成長していきましょうね。
この記事が役に立ったら、他の記事も参考にしてみてくださいね。
▶︎ 目次:ミルク拒否ガイド【保存版】はこちら
🩺この記事の執筆・監修者
📌 執筆者:
元産婦人科病棟看護師/第一子育児中の母
📌 医療監修:
医師/乳幼児・児童発達分野にて勤務経験あり/第一子育児中の父
※個別の診断・治療を提供するものではありません。必要に応じて医療機関へご相談ください。


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