【9~12ヶ月】フォローアップミルクを嫌がる理由

【9~12ヶ月】フォローアップミルクを嫌がる理由|飲まないときの原因と対策

「9ヶ月になったからフォローアップミルクに切り替えたのに、全然飲まない…」「哺乳瓶を見ただけで首を振って嫌がる」——そんなお悩みはとてもよくあります。
結論からお伝えすると、9~12ヶ月でフォローアップミルクを嫌がるのは“めずらしいことではなく”、発達や離乳食の進み方による自然な変化であることが多いです。

また、体重がゆるやかに増えていて、機嫌やおしっこの回数が保たれていれば、必ずしもフォローアップミルクを「飲ませなければいけない」わけではありません
一方で、体重の増え方が少なかったり、食事量に不安がある場合は、ミルク拒否の原因を整理したうえで、「飲ませ方・タイミング・量」を調整していくことが大切です。

この記事では、9~12ヶ月でフォローアップミルクを嫌がる主な原因と、今日からできる現実的な対策、受診を検討すべきサインまでまとめて解説します。
月齢ごとのミルクトラブル全体像を確認したい方は、あわせて
ミルク拒否ガイド【保存版】|原因・対策・哺乳瓶選び・月齢別サポートまとめ
も参考にしてみてください。


9~12ヶ月でフォローアップミルクを嫌がるのは「よくあること」

フォローアップミルクは、9ヶ月以降の「離乳食+ミルク」の栄養バランスを整えるための補助的なミルクです。ところが、実際には次のような相談が多く聞かれます。

  • フォローアップに切り替えた途端に飲まなくなった
  • 普通の育児用ミルクは飲むのに、フォローアップだけ拒否する
  • 最初の数日は飲んでいたのに、だんだん嫌がるようになった
  • ストローやマグなら少し飲むが、哺乳瓶だと強く拒否する

この時期の赤ちゃんは、離乳食が進み、味覚・嗅覚・「好き嫌い」の感情が育ってくる時期です。
そのため、味や匂いの変化に敏感になり、「これまでのミルク」と「フォローアップミルク」の違いをはっきり感じて拒否することがあります。

5~6ヶ月・7~8ヶ月のミルク拒否については、【5~6ヶ月】離乳食開始後のミルク拒否と対処
【7~8ヶ月】離乳食とミルクのバランスで飲まない原因で詳しく解説しています。
「いつ頃から飲みが変わってきたか」を振り返るヒントになるかもしれません。


フォローアップミルクを嫌がる主な原因

9~12ヶ月のフォローアップミルク拒否は、いくつかの理由が重なって起こることが多いです。代表的な原因を表にまとめると、次のようになります。

原因のタイプ 具体的な内容 チェックポイント
味・匂いの変化 フォローアップミルク特有の風味や甘さの違いに敏感 育児用ミルクや水分は嫌がらず飲む
離乳食の進み 食事量が増えてお腹が満たされやすい 食後すぐのミルクで拒否が強い
自己主張・イヤイヤ 「今はこれがしたい!」という気持ちが強まる時期 哺乳瓶を払いのける・違う遊びを始める
飲み方の変化 哺乳瓶からストロー・コップに移行するタイミング 哺乳瓶だけ嫌がり、コップ飲みは受け入れやすい
スケジュール・リズム 昼寝・食事・遊びのリズムが整ってきて、決まった時間以外は飲みたがらない 特定の時間帯だけ飲みが悪い

① 味・匂いの違いに敏感になっている

フォローアップミルクは、鉄分やビタミンなどを補いやすいように成分が調整されています。そのため、育児用ミルクと比べて風味や甘さが微妙に異なり、その差をいやがる赤ちゃんも少なくありません

9~12ヶ月頃は、「おいしい」「おいしくない」の感覚がハッキリしてくる時期です。
大人から見ると「そんなに違わない」と感じる味でも、赤ちゃんにとっては大きな変化に感じていることがあります。

② 離乳食が進み、お腹が空きにくくなっている

3回食が軌道に乗ってくると、食事+間食(おやつ)だけでかなりお腹が満たされるようになります。
この状態で、「食後すぐのフォローアップミルク」や「満腹に近いタイミングでのミルク」を勧めても、赤ちゃんにとっては「いらないよ」と感じやすくなります。

9~12ヶ月のミルク量の目安全体を知りたい場合は、
月齢別ミルク量の目安まとめも参考になります。
「思っているよりミルク量を減らしてもいいケース」もあるため、目安を確認してみると安心材料になることが多いです。

③ 自己主張・遊び飲みの延長としてのミルク拒否

この頃の赤ちゃんは、「今はこれで遊びたい」「この人からは飲みたくない」などのこだわりが強く出てくる時期です。
フォローアップミルクを嫌がるように見えても、実際には

  • お気に入りのコップなら少し飲む
  • 場所や姿勢を変えると飲む
  • 眠気のあるタイミングだけ飲む

など、「飲みたくない」というよりも「自分のペースで飲みたい」という気持ちが背景にあることも珍しくありません。

④ 哺乳瓶からの卒業が近づいている

9~12ヶ月は、哺乳瓶からストローやマグ、コップに移行していく準備時期です。
そのため、「フォローアップミルクは嫌がるが、水や麦茶ならストローで飲める」といった場合、ミルク拒否というより“哺乳瓶卒業のサイン”であることもあります。


心配すべき?様子を見てよい?判断の目安チェックリスト

フォローアップミルクを嫌がるとき、「今すぐ何とかしなければいけない状況」なのか、「少し様子を見てよい状態」なのかを見分けることが大切です。

チェック項目 様子を見てよいサイン 相談・受診を検討したいサイン
体重 成長曲線のカーブに沿って増えている ここ1~2ヶ月で明らかな減少・カーブが大きく下がっている
おしっこの回数 日中5~6回以上出ていて、色も濃くない 極端に回数が少ない・色が濃い状態が続く
機嫌・活動性 遊ぶ元気があり、笑顔も見られる ぐったりしている・明らかに元気がない
食事量 3回食がある程度とれている 離乳食もほとんど食べない日が続く
飲み物全体 水・麦茶などはある程度飲めている 水分自体をほとんど取れていない

体重とミルク量の関係について詳しく知りたいときは、
成長曲線(体重曲線)とミルク量の関係もあわせて読んでみてください。
「何を目安に心配したら良いか」がもう少し具体的につかめると思います。


フォローアップミルクを嫌がるときの具体的な対策

ここからは、今日から試せる対策を具体的にご紹介します。すべてを一度に行う必要はなく、ご家庭の状況に合いそうなものから一つずつ試してみるイメージで大丈夫です。

① 「必ずフォローアップに切り替える必要があるか」を見直す

まず大切なのは、「フォローアップミルクに変えなければいけない」という思い込みを少しゆるめてみることです。

  • 離乳食がしっかり食べられている
  • 育児用ミルクや牛乳(医師から許可がある場合)が少量でも飲めている
  • 成長曲線が大きく外れていない

このような場合は、無理にフォローアップミルクを飲ませなくても、栄養的には大きな問題にならないケースも少なくありません。
フォローアップはあくまで「補助的な栄養源」であり、「飲めれば安心材料が増える」くらいのイメージでとらえてみてください。

「タイミングを変えて別のミルクに戻す」「しばらく育児用ミルクを続ける」といった選択肢については、
ミルクを変更するタイミングと注意点でも詳しく解説しています。

② 味・濃さ・温度を少しずつ調整する

味の違いが強くてフォローアップミルクを嫌がる場合、いきなり全部をフォローアップに切り替えるのではなく、「混ぜて薄める」ステップを挟むとスムーズなことがあります。

  • 最初は「育児用ミルク7:フォローアップミルク3」くらいから始める
  • 数日おきにフォローアップの割合を少しずつ増やす
  • それでも嫌がる場合は、無理に増やさず「飲める割合」でしばらく様子を見る

また、温度や濃さのわずかな違いでも飲みやすさが変わる赤ちゃんもいます。普段よく飲むミルクと同じ温度・濃さに近づける工夫も試してみてください。

③ 飲ませるタイミング・量を見直す

「食後に必ずフォローアップミルクを飲ませよう」と頑張りすぎると、お腹がいっぱいで飲めないだけなのに「ミルク拒否」と感じてしまうことがあります。

例えば、次のような工夫が考えられます。

  • 食後すぐではなく、食後1~2時間あけてから少量を勧めてみる
  • 「1回にたくさん飲ませる」のではなく、「1日トータルで少しずつ飲めていればOK」と考える
  • どうしても昼間は飲まない場合は、「朝と寝る前」など飲みやすい時間に集中的に飲ませる

授乳間隔や1日のスケジュール全体を整えたいときは、
授乳間隔の目安と調整の仕方も参考になるかもしれません。

④ 哺乳瓶以外の方法(ストロー・マグ・コップ)を試す

哺乳瓶への抵抗が強い場合、マグやストローマグ、コップでの提供に切り替えるとすんなり飲めることもあります。

  • お気に入りのキャラクターのマグ・ストローカップを使う
  • 少しとろみのある離乳食と一緒に「スープ感覚」で出してみる
  • パパ・ママが「おいしそうに飲む様子」を見せてから少しだけ勧める

「飲み方の変化」と「離乳食の進行」が絡んだミルク拒否については、
離乳食開始後の飲み渋りと発達の関係もあわせて読むと、全体像がつかみやすくなります。


フォローアップミルクは「絶対必須」ではない?栄養バランスの考え方

フォローアップミルクは「飲めたら安心」な一方で、「飲まない=すぐに栄養失調」というわけではありません
大切なのは、離乳食+他の乳製品・飲み物を合わせたときに、トータルとして栄養が足りているかどうかです。

パターン メリット 注意点
育児用ミルクを継続 飲み慣れた味で拒否が少ない/エネルギー源として安定 離乳食が進むにつれて量を調整する必要がある
フォローアップミルクを併用 鉄分・ビタミンなどを補いやすい/食事量に波がある子の安心材料 味の違いでミルク拒否が出やすい/無理に飲ませようとしないことが大切
離乳食+他の乳製品中心 ヨーグルト・チーズなどからカルシウムを摂りやすい 鉄分・ビタミンの不足に注意/食事のバランス確認が必須

「どのパターンが絶対に正解」というものはなく、その子の食事量・体重の増え方・ご家庭のライフスタイルによって変わります。
心配なときは、母子手帳の成長曲線を持参して、小児科や健診の場で一度相談してみると良いでしょう。


受診や相談を検討してほしいケース

次のような場合は、「フォローアップミルクが飲めるかどうか」だけでなく、全身状態のチェックを含めて一度医療機関や保健センターに相談することをおすすめします。

  • ここ1~2ヶ月で体重がほとんど増えていない、もしくは減っている
  • おしっこの回数が明らかに少ない・色が濃い状態が続く
  • 水分全般を嫌がり、口に入れてもすぐ吐き出してしまう
  • ぐったりしている、機嫌が悪い状態が続く、発熱や嘔吐を伴う
  • 離乳食もほとんど食べず、ミルクも飲めない状態が続いている

こうした場合は、単なる「ミルク拒否」ではなく、体調不良が背景にある可能性もあります。
「様子を見ていて良いのか分からない」と不安なときは、早めに小児科・地域の保健センター・助産師外来などに相談してみてください。


【医療者コメント】医師・産婦人科病棟看護師より

9~12ヶ月でフォローアップミルクを嫌がる赤ちゃんはとても多く、現場でも「飲める子・飲まない子」がはっきり分かれる印象があります。
多くのご家庭で、「フォローアップを飲まない=栄養が足りないのでは」という不安が強くなりますが、実際には離乳食の内容や体重の推移を確認しながら調整していくことで、元気に成長しているケースがほとんどです。
「どうしても飲ませなきゃ」と追い詰められすぎず、その子に合った形で栄養を補う方法を一緒に探していきましょう。

フォローアップミルクは、栄養補助として有用な一方で、飲めないからといって即座に重い栄養障害につながるものではありません。大切なのは、体重・身長の推移、日常の機嫌・活動性、脱水のサインなど、全体を見て判断することです。
もし、成長曲線から大きく外れてきたり、全身状態が気になる場合は、早めに小児科で評価を受けていただくと安心です。
ご家庭だけで「飲まないのは親のせい」と抱え込まず、気になるタイミングで気軽に医療者を頼ってくださいね。


育児に取り組むパパ・ママへ

フォローアップミルクを嫌がられると、「自分のやり方が悪いのかな」「どうして飲んでくれないんだろう」と心が疲れてしまうこともあると思います。
「飲み方」や「ミルクの種類」は変わっても、パパ・ママが赤ちゃんのことを大切に思っている気持ちはきちんと伝わっています。どうかご自身を責めすぎず、できる範囲で工夫を重ねていきましょう。

この記事が役に立ったら、他の記事も参考にしてみてくださいね。
月齢別や原因別のミルク拒否について知りたい方は、
ミルク拒否ガイド【保存版】|原因・対策・哺乳瓶選び・月齢別サポートまとめ
もあわせてご覧ください。

🩺この記事の執筆・監修者

📌 執筆者:
元産婦人科病棟看護師/第一子育児中の母

           

📌 医療監修:
医師/乳幼児・児童発達分野にて勤務経験あり/第一子育児中の父

※個別の診断・治療を提供するものではありません。必要に応じて医療機関へご相談ください。

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