反り返りが強い時期の授乳が難しい理由|原因と今日からできるサポート
赤ちゃんに反り返りが強く出る時期は、姿勢が安定せず、飲む動作そのものが難しくなるため、ミルク拒否・哺乳瓶拒否が一時的に増えやすい時期です。特に3〜5ヶ月ごろに多く、発達の過程として自然にみられる動きでもあります。
まず結論からまとめると、反り返り期に授乳が難しくなるのは、以下のように身体発達と感覚の変化が重なるからです。
- 頭と体のバランスを取るのがまだ未熟で、飲む姿勢を保ちづらい
- 興奮・覚醒レベルが高まりやすく、抱かれると反射的に反り返る
- 背中や首の筋肉が発達し、動きたい欲求が強くなる
- 感覚が敏感になり、姿勢・温度・哺乳瓶の位置の影響を受けやすい
つまり、赤ちゃんは「飲みたくない」のではなく、発達の段階として飲みづらくなっているだけであることが多いのです。
この記事では、反り返りが強い時期に授乳が難しくなる医学的・発達学的な理由をわかりやすく解説し、今日からできる具体的な対策を紹介します。関連する内容として、抱っこを嫌がる・反り返るときの授乳拒否 や、ミルク拒否全体像をまとめた ミルク拒否ガイド【保存版】|原因・対策・哺乳瓶選び・月齢別サポートまとめ も参考になります。
✔ 反り返りが強い時期に授乳が難しい理由(要点まとめ)
- 授乳姿勢が安定しないため、吸啜(きゅうてつ)リズムが崩れやすい
- 興奮しやすく、抱き姿勢そのものが「飲むスイッチ」に入らない
- 視覚や聴覚の刺激に注意が向き、集中して飲めない
- 哺乳瓶の位置がずれると、浅吸いになり飲みづらくなる
- 「動きたい欲求>飲みたい気持ち」となる時期がある
以下で詳しく解説していきます。
反り返りが強くなる時期とは?
反り返りは、首・体幹・背中の筋肉が発達する途中の自然な動きです。特に多いのは次の時期です。
| 月齢 | 特徴 |
|---|---|
| 2〜3ヶ月 | 首がしっかりしてくる前段階。刺激に反応して反り返りやすい。 |
| 3〜4ヶ月 | 背筋が強くなり、「動きたい」気持ちが増える。 |
| 5ヶ月前後 | 寝返りが始まる時期で、体をひねろうとする動きが授乳にも影響。 |
この時期は「発達バースト」も重なることが多く、授乳が不安定になりやすい特徴があります。詳しくは 発達バーストでミルクを飲まなくなる理由 にもまとめています。
反り返りと授乳がぶつかる“4つのメカニズム”
ここからは「なぜ反り返りがあると飲めないのか」を医学・発達学の観点から解説します。
① 姿勢が崩れて吸啜が安定しにくい
ミルクを飲むには、以下の3つが同時に整う必要があります。
- 首が安定している
- 肩〜体幹がリラックスしている
- 哺乳瓶の位置が適切で、深く咥えられる
しかし反り返ると、
- 頭が後方に逃げる
- 背中が緊張して反る
- 口の角度と乳首が合わなくなる
その結果、浅吸い(乳首を浅く咥える状態)によって飲みにくくなるため、途中で泣く・怒る・嫌がるなどが起こります。
この特徴は 飲み始めは飲むのに途中で泣く理由 にもよく共通しています。
② 興奮しやすく、飲む姿勢そのものがストレスになる
反り返りが強い時期は、覚醒レベル(脳の活動の高まり)が上がりやすく、
- 抱かれると嬉しくて反る
- 見たいものが多くてそちらを向こうとする
- 寝ぐずり・眠気の直前で反り返る
などの状態が起きます。
つまり、抱っこ姿勢がそのまま「飲むスイッチに切り替わらない」ことがあるのです。
授乳前の環境づくりについては 授乳環境(匂い・姿勢・温度)の影響 や ミルク前のルーティン作り も参考になります。
③ 動きたい欲求が強く、「飲むより動きたい」が勝つ
反り返りの時期は、身体発達が大きく進む時期でもあります。
- 頭を持ち上げたい
- 背中を伸ばしたい
- 手足をバタバタ動かしたい
この“動きたい欲求”が飲む行動より勝つと、哺乳瓶を咥えようとしても、すぐ反り返ってしまいます。
これは 手足バタバタ期はなぜ飲まない? と共通の反応です。
④ 口と乳首の角度がズレて浅吸いになる
反り返ると、赤ちゃんの顎が上がり、乳首への角度が変わります。すると、
- 浅吸い → 空気を飲みやすい
- 乳首が口の上側に当たり痛く感じることがある
- 吸ってもミルクが効率よく出てこず frustration につながる
乳首が合わないと感じた場合は、月齢別乳首(ニプル)サイズの選び方 や 哺乳瓶の穴の形・硬さ・流量で変わる飲みやすさ も参考になります。
【チェックリスト】反り返りが原因で飲めていないサイン
次のようなサインがある場合、反り返りによる「飲みにくさ」が関係している可能性が高いです。
- 抱くと体をそらせて嫌がる
- 哺乳瓶が口に近づくと首をそらす
- 飲み始めてもすぐ離す・怒る
- 浅く咥えてカチカチ噛むような動きがある
- 寝落ち直前は飲める(力が抜けるため)
こうした特徴は、年齢やミルク量の変化とも関連します。月齢別の詳しい特徴は 月齢別ミルク量の目安まとめ も参考になります。
反り返りが強い時期の授乳が楽になる対策
ここからは、医療的視点と発達の特徴をふまえて、今日から試せる対策をまとめます。
① 角度のついた抱き方で「反り返り」を利用する
無理に反り返りを止めるのではなく、反り返ろうとする力を“前向きの姿勢”に変えてあげると飲みやすくなります。
- 縦抱き気味にする(45°前後)
- 体幹をやや前屈させて、背中を丸めるサポートをする
- 脇の下に手を入れ、骨盤を支えて安定させる
詳しい姿勢の工夫は 飲みやすくなる抱き方・角度 にも解説しています。
② 授乳前に「体の緊張をゆるめるルーティン」を入れる
反り返りが強い時期は、体が緊張した状態のまま授乳に入ると飲めなくなりがちです。授乳前に以下を取り入れると効果的です。
- ゆっくり縦抱きで5〜10秒揺れる
- 背中を大きく撫でてリラックスさせる
- 照明を少し落とし、刺激を減らす
- 授乳前のルーティン(音・言葉かけ)を統一する
これは ミルク前のルーティン作り とも相性がよく、「飲むスイッチ」を入れやすくなります。
③ 「浅吸い」を避けるため、乳首の角度を微調整する
反り返りによって顎が上がりやすい時期は、乳首が口に入りにくく、浅吸いになりがちです。そこで、以下のポイントを意識します。
- 哺乳瓶を下からではなく「やや上から角度をつけて」口に入れる
- 赤ちゃんの口が開いた瞬間にそっと入れる
- 乳首の流量が合っているか確認する
乳首選びに迷う場合は、月齢別乳首(ニプル)サイズの選び方 や 哺乳瓶の穴の形・硬さ・流量で変わる飲みやすさ が参考になります。
④ 「動きたい時期」はタイミングをずらすだけで改善することがある
反り返りが強く、体をバタバタ動かす時期は、単純に「今は動きたいだけ」ということも珍しくありません。
そのため、
- 5〜10分様子を見る
- いったん抱っこ散歩をする
- 寝ぐずりの場合は眠りに近づくまで待つ
といった「時間の調整」でスムーズに飲めることがあります。
これは 空腹じゃないときの見分け方 にも共通するポイントです。
⑤ 「ねんね飲み」を応用する(ただし安全に)
反り返りが強い時期でも、眠気で体の緊張が抜けた瞬間は飲みやすいことが多いです。
- 寝落ち直前のタイミング
- 寝起きのまだボーッとしている時間
このタイミングは反り返りが減るため、スムーズに飲めることがあります。
方法は ねんね飲みのやり方 に詳しくまとめています。
⑥ 授乳環境の刺激を最大限カットする
反り返りが強い時期は、感覚が研ぎ澄まされ、以下のような刺激で集中が切れて反りやすくなります。
- 光(天井ライト)
- 雑音・テレビ
- 人の気配
- スマホの光・音
授乳環境の工夫は 授乳環境(匂い・姿勢・温度)の影響 も参考になります。
⑦ 哺乳瓶の種類を変えて飲めることもある
浅吸いが続くと、哺乳瓶そのものを嫌がるように見えることがあります。これは「嫌い」なのではなく、角度と硬さが合っていないため飲みにくいだけです。
合いやすい哺乳瓶の選び方は以下が参考になります:
【月齢別】反り返り×授乳の特徴とサポート方法
発達段階ごとに「反り返りの理由」と「授乳への影響」は異なります。
| 月齢 | 反り返りの特徴 | 授乳サポート |
|---|---|---|
| 2〜3ヶ月 | 背中の緊張が強く、刺激に反応しやすい。 | 静かな環境+縦抱き気味。眠気のタイミングが飲みやすい。 |
| 3〜4ヶ月 | 動きたい気持ちが強く、抱くと反る。 | 授乳前に軽い揺れ・背中タッチでリラックスを作る。 |
| 5ヶ月前後 | 寝返りの練習期で反り返りが強く出ることも。 | 授乳角度調整+タイミングの工夫が効果的。 |
寝返りやずり這い開始後に飲みが乱れる理由は 寝返り・ずり這いが始まると授乳が乱れる理由 に詳しくまとめています。
反り返りが強い=病気?医療的に受診すべきケースは?
多くの場合は発達の一過性ですが、次のような場合には小児科相談をおすすめします。
- ミルク量が極端に減り、体重増加が止まる
- 反り返りと同時に嘔吐を繰り返す
- 授乳以外の場面でもずっと反って泣く
- 反り返りが強すぎて抱けないほど
体重の増え方が気になる場合は 体重増加が少ない場合の量の調整 も参考になります。
まとめ|反り返り期の授乳は「飲めない理由」がはっきりある
反り返りが強い時期のミルク拒否は、
- 発達の過程で自然に起こる
- 「飲みたくない」わけではない
- 姿勢・刺激・タイミングを整えると改善しやすい
という特徴があります。
全体の原因や対策を整理したい場合は、ミルク拒否ガイド【保存版】|原因・対策・哺乳瓶選び・月齢別サポートまとめ を読むと理解がさらに深まります。
【医療者コメント】医師・産婦人科病棟看護師より🌸
反り返りが強い時期は、神経系や筋肉の発達が一気に進むため、授乳が一時的に不安定になるのはごく自然な反応です。体重増加さえ保たれていれば、深刻に捉えすぎる必要はあまりないと考えます。
これまで多くの赤ちゃんを見てきましたが、「反り返り+授乳の乱れ」はほとんどの赤ちゃんでみられます。抱き方の調整や授乳タイミングの工夫だけで驚くほど改善することも多いので、焦らず続けてみてくださいね。
育児に取り組むパパ・ママへ🌼
反り返りが強い時期は、赤ちゃん自身も「体がうまく使えない」もどかしさを抱えている時期です。飲めない日があっても、あなたの関わりは確実に赤ちゃんを助けています。どうか自分を責めず、ゆっくり進んでいきましょうね。
この記事が役に立ったら、他の記事も参考にしてみてくださいね。
👉目次:ミルク拒否ガイド【保存版】|原因・対策・哺乳瓶選び・月齢別サポートまとめ
🩺この記事の執筆・監修者
📌 執筆者:
元産婦人科病棟看護師/第一子育児中の母
📌 医療監修:
医師/乳幼児・児童発達分野にて勤務経験あり/第一子育児中の父
※個別の診断・治療を提供するものではありません。必要に応じて医療機関へご相談ください。


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