体重増加が少ない場合の量の調整|安全に増やすコツと月齢別の目安
「最近体重の増え方がゆっくり…」「ミルクの量は足りているのかな?」と不安になる保護者の方はとても多くいます。特に、ミルク拒否や哺乳瓶拒否が重なると、どれくらい量を増やして大丈夫なのか判断が難しくなります。
結論:体重増加が少ないときは、一度に増やす量は“10~20ml刻み”が基本です。急に増やしすぎず、赤ちゃんの胃の容量や飲みムラ、授乳間隔のリズムを見ながら、数日単位で調整するのが安全です。
この記事では、月齢別のミルク量の目安から、量を増やすべきサイン・増やし方のコツ、さらにミルク拒否があるときの調整ポイントまで、今日からすぐに使える形でまとめました。
関連する詳しい原因を知りたい方は、ミルク拒否の原因一覧や、月齢別の変化が大きい時期のポイントをまとめた【2ヶ月】急にミルクを飲まなくなる原因と対策も参考になります。
体重増加が少ないときの基本の考え方
まずは「量をどう増やすか」の前に、体重増加が少ない原因を整理しておきましょう。大きく分けると、次の3つが中心です。
- ① ミルク量が足りていない(絶対量の不足)
- ② 飲みムラ・授乳間隔が不安定(リズムの問題)
- ③ ミルク拒否・哺乳瓶拒否(飲める量が確保できない)
体重増加が少ないときは、これらが複合して起きていることが多いです。特に、2~3ヶ月や4ヶ月頃の成長スパート前後は飲みムラが強くなり、体重の伸びが一時的にゆるやかになることがあります。
月齢ごとの詳細は、月齢別ミルク量の目安まとめに詳しく記載しています。
どれくらい増やす?安全な「調整ステップ」
体重が少ないと感じた時、多くの保護者は「どれくらい増やせばいいの?」と戸惑われます。医療現場でも、基本は以下のステップで進めます。
① 10〜20mlずつ、段階的に増やす
急に30〜60ml増やすのは、赤ちゃんの胃の容量に負担がかかり、吐き戻し・反り返り・途中で泣くなどの原因になります。
安全な増量は、
✔ 1回10〜20mlずつ
✔ 2〜3日続けて様子を見る
✔ 問題なければさらに10ml追加
このペースが最も安心です。
② 授乳間隔を見直す(短すぎ/長すぎの調整)
特に4時間以上あくと、お腹が空きすぎて逆に飲めなくなることがあります。また、1時間台で頻回すぎると胃が休まず、飲める量が伸びにくくなります。
授乳間隔の調整については、授乳間隔の目安と調整の仕方が参考になります。
③ ミルク拒否がある場合は「原因ケア」を優先
体重が増えない→ミルクを増やす、という発想になりがちですが、哺乳瓶拒否や途中で泣くなどがあると、量を増やしても成功しません。
その場合は、以下の記事のように原因ごとの対策を併用するのがおすすめです。
体重増加が少ないときに見直すポイント一覧
次のチェックリストは、外来でも親御さんにお伝えする内容と同じです。3つ以上当てはまれば、量の調整が必要な可能性があります。
【チェックリスト】
- 1週間の体重増加が70〜100g未満が続いている
- 飲み終わっても満足そうでない(泣く・手を口に入れる)
- 授乳間隔がバラバラでリズムが整わない
- 毎回の量が「同じ月齢の目安」より明らかに少ない
- 途中で寝てしまい、満量が飲めない
- 哺乳瓶を見ただけで泣くことがある
特に、途中で寝てしまう子は、途中で寝る子の量の調整方法を参考にしてください。
月齢別:体重増加が少ないときにどれくらい増やす?
ここからは月齢ごとに、どれくらい増やせばよいか、具体的な目安を解説します。赤ちゃんによって飲むペースは大きく違うため、あくまで「安全な調整範囲」として参考にしてください。
【新生児〜1ヶ月】
胃容量が小さく、1回量を大きく増やすのは危険です。
- 基本:1回あたり10mlずつ増やす
- 授乳回数は8〜10回と多めでOK
- 消化トラブル(吐き戻し・反り返り)が出る場合はすぐ戻す
詳しくは【新生児~1ヶ月】ミルクがうまく飲めない原因も参考になります。
【2〜3ヶ月】
ちょうどミルク拒否や遊び飲みの初期症状が出やすい時期です。飲める日は飲める、飲めない日は飲まないという差が出やすくなります。
- 増やす量:10〜20ml刻み
- 授乳間隔:3時間前後を目安
- 飲みムラが強い日は無理に増やさない
この月齢のミルク拒否は、【2ヶ月】急にミルクを飲まなくなる原因と対策で詳しく解説しています。
【3ヶ月】
体重増加がゆるやかになる時期ですが、平均120〜150g/週は目標にします。
- 増やす量:10–20ml
- 飲みムラが激しい場合は「1日トータル量」で判断
- 授乳環境(温度・匂い)で飲みが変わることも
途中で遊んだり泣いたりする場合は、【3ヶ月】遊び飲み・途中で泣く際の対処も参考になります。
【4ヶ月】
眠気・周囲への興味が強くなり、飲む量が安定しにくくなることがあります。また、体重の伸びが一時的に緩やかになっても自然な時期です。
- 増やす量:10〜20ml
- 飲めない時間帯は思い切って“間隔を少し空ける”のも方法
- 途中で泣く子は抱き方・姿勢の影響が大きい
4ヶ月は哺乳瓶拒否が顕著になりやすいため、【4ヶ月】哺乳瓶拒否が増える理由と対策に詳細があります。
【5〜6ヶ月】
離乳食の開始で、ミルク量が自然に減る時期です。これは生理的な変化であり、必ずしも体重増加不良ではありません。
- 増やす量:10〜20ml
- 離乳食とのバランスを見ながらトータル量で判断
- 体重増加は1週間に80〜120gを目安
詳しくは【5~6ヶ月】離乳食開始後のミルク拒否と対処も参考になります。
無理に増やすと逆効果になるケース
体重を増やしたくて量を増やしても、かえって飲めなくなるケースがあります。特に以下のようなサインがある場合は、量を増やすのを一度ストップしましょう。
- 飲み始めてすぐ反り返る/泣く
- 吐き戻しやゲップが増える
- 飲んでいる途中で飽きるように遊び始める
- 授乳間隔が1〜2時間で頻回になりすぎている
こうした場合は、量そのものよりも飲ませ方・姿勢(角度)・温度を整える方が効果が出やすいです。
→ 詳しくは飲みやすくなる抱き方・角度やミルクの温度調整テクニックを参考にしてください。
飲む量を増やしたい時の実践テクニック
ここでは、外来でも効果を感じやすい“すぐ使える方法”を紹介します。
① 朝の1回分を少し多めにする
ほとんどの赤ちゃんは朝が最も飲めるため、朝の回だけ10〜20ml増やすのが効果的です。
② 飲ませ方を少し変える
- 抱っこの角度を45度前後にする
- ニプルサイズを月齢に合わせる
- 途中でゲップを挟む
③ 時間帯ごとの得意・不得意を見分ける
夕方は飲みにくく、午前中に飲める子が多いです。「飲める時間帯にしっかり飲む」だけでも体重増加が改善します。
④ スケールで増え方を確認
毎回ではなく、週に数回でOK。増えすぎる心配があるときは、飲ませすぎの判断基準も参考になります。
よくある質問(Q&A)
Q1. 体重が増えていないとき、ミルクの種類を変えるべき?
量を増やしても飲まない場合や、味の好みが影響している場合はミルク変更も選択肢です。
詳しくはミルクを変更するタイミングと注意点をご覧ください。
Q2. 哺乳瓶を変えると飲むようになる?
哺乳瓶の形状・ニプルの柔らかさで飲みやすさが大きく変わります。
→ 哺乳瓶を変えたら飲んだ理由 が参考になります。
Q3. 体重が横ばいでも機嫌が良いなら大丈夫?
機嫌・睡眠・おしっこの状態が良ければ一時的なもののことが多いです。ただし2週間以上増えない場合は一度相談を。
Q4. どのくらい増加していれば安心?
| 月齢 | 週あたりの目安 |
|---|---|
| 新生児~3ヶ月 | 150~200g/週 |
| 3~6ヶ月 | 120~150g/週 |
| 6ヶ月以降 | 80~120g/週 |
増え方は個性がありますが、この範囲から大きく外れる場合は量の見直しが必要かもしれません。
医療機関を受診すべきサイン
- 2週間以上体重がほとんど増えない
- 飲むたびに泣く・反り返る
- おしっこの回数が減る
- 発熱・下痢など別の症状がある
- 「いつもと違う」と感じる元気のなさ
詳しくは体重が増えない時のチェックポイントも参考になります。
まとめ|体重増加が少ないときは「少しずつ+安全に」調整すれば大丈夫
体重増加がゆっくりだと心配になりますが、赤ちゃんの成長には波があり、飲める日・飲めない日があるのは自然です。
✔ 量は10〜20mlずつ
✔ 無理に増やさない
✔ 飲みやすい環境を整える
✔ 月齢ごとの変化を理解する
これを意識すると、赤ちゃんの負担を減らしながら安全に体重を支えることができます。
【医療者コメント】医師・産婦人科病棟看護師より
体重の増え方には個人差があり、ミルクの量や授乳間隔は“その子にとって最適な形”を探していく過程がとても大切です。産婦人科病棟での勤務経験からも、少しずつ量を調整しながら様子を見る方法が最も安全で負担が少ないと感じます。授乳や成長に不安がある場合は早めに相談していただいて大丈夫です。
ミルク拒否に悩む育児中のパパ・ママへ
毎日の育児、本当にお疲れさまです。小さな変化に気づけている時点で、すでにとても素敵な育児ができていますよ。焦らず、赤ちゃんのペースに寄り添っていきましょう。
この記事が役に立ったら、他の記事も参考にしてみてくださいね。
▶︎目次:ミルク拒否ガイド【保存版】はこちら
🩺この記事の執筆・監修者
📌 執筆者:
元産婦人科病棟看護師/第一子育児中の母
📌 医療監修:
医師/乳幼児・児童発達分野にて勤務経験あり/第一子育児中の父
※個別の診断・治療を提供するものではありません。必要に応じて医療機関へご相談ください。


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