途中で寝る子の量の調整方法|最後まで飲めない赤ちゃんへの実践ガイド
「飲んでいる途中ですぐ寝てしまう」「半分くらいでウトウトして進まない」──そんな赤ちゃんはとても多く、ミルク拒否や哺乳瓶拒否と間違われることもあります。
結論として、途中で寝るのは赤ちゃんの自然な発達の一部であり、必ずしも問題ではありません。ただし「どれくらい飲めていれば安心か」「どんな工夫をすると飲み切りやすいか」を知ることで、無理なく安定した授乳ができます。
この記事では、赤ちゃんが途中で寝てしまうときの量の判断基準、調整方法、月齢別の対応をていねいにまとめています。ミルク拒否に見える場面や、飲む量が減ったときの注意点についても解説します。
月齢別の特徴を知りたい場合は、新生児~1ヶ月の飲みにくさや3ヶ月の遊び飲みなども合わせてチェックすると理解が深まります。
結論:途中で寝ても「量が足りているか」で判断すればOK
赤ちゃんが途中で寝てしまっても、次の3つがそろっていれば基本的に問題ありません。
- ① 1日のトータル量が目安の7〜8割に達している
- ② おしっこが1日5〜6回以上出ている
- ③ 機嫌や体重が安定している
「1回で飲まなきゃ」と思いすぎる必要はありません。赤ちゃんは寝ることで自然に飲むペースを調整しており、それ自体は発達的にとても正常です。
飲む量の月齢別目安は月齢別ミルク適量まとめで詳しく紹介しています。
途中で寝てしまう理由|ミルク拒否とは全く別の原因が多い
赤ちゃんが途中で寝るのは、ミルクの嫌がりや哺乳瓶拒否とは違うメカニズムです。代表的な原因は次のとおりです。
① 吸う動作が疲れやすい(特に新生児〜2ヶ月)
- 乳首のサイズが小さくて出にくい
- 吸う力がまだ弱く、途中で疲れて自然に寝る
- 眠気が強いタイミングに重なる
② ミルクの温度が低いと眠くなりやすい
ぬるすぎるミルクは「落ち着く」刺激となり、自然に眠気を誘うことがあります。
適温の作り方は温度調整テクニックが参考になります。
③ 授乳姿勢がリラックスしすぎている
- 横抱きが心地よすぎて眠気が出る
- 抱っこ揺れでそのまま眠りに入る
姿勢の調整は飲みやすくなる抱き方が役立ちます。
④ 授乳間隔が短くてお腹が減っていない
前のミルクがまだ胃に残っていると、眠気が勝ってしまいがちです。
授乳間隔は授乳間隔の目安も参考になります。
⑤ 月齢特有の眠気・リズムの変化
- 3ヶ月頃:眠い→飲む→眠い の切り替えが速い
- 4ヶ月頃:周りに興味が出て飲むより寝る/遊ぶに気が向きやすい
- 5〜6ヶ月:離乳食が始まり飲む量が変動しやすい(→ 5〜6ヶ月のミルク減少)
途中で寝る子の「量の調整」の基本
途中で寝てしまう赤ちゃんに対して、まず押さえるべき量の考え方を整理します。
1)1日のトータル量で管理する
赤ちゃんは「1回でしっかり飲むタイプ」と「複数回に分けて飲むタイプ」がいます。
途中で寝る子は、複数回に分けて少しずつ飲むことが多いですが、トータル量が取れていれば問題なしです。
2)1回量にこだわらない
例えば本来160ml飲める月齢で、途中で寝て80〜120mlしか飲めなかったとしても、次の授乳で補うことが可能です。
1回ごとに焦るより、1日単位で合計を見たほうが赤ちゃん本来のリズムに合うことが多いです。
3)寝た後に少しだけ追加で飲ませる方法もOK
「ねんね飲み」に近い方法で、10〜30mlを足せることがあります。詳しいやり方はねんね飲みのコツも参考にしてください。
月齢別:途中で寝やすい時期の特徴と対処法
新生児〜1ヶ月:眠気が勝ちやすく、とにかく疲れやすい
この時期は「寝ながら生きている」と言えるほど眠気が強いため、途中で寝てしまうのはほぼ自然な現象です。
- 量が少なくても、体重増加が順調ならOK
- 乳首のサイズアップを検討(吸う力が弱くても出やすくなる)
- 軽くほっぺを触ると起きて飲みやすい
2〜3ヶ月:吸う力が強くなるが、眠気・遊び飲みが混ざりやすい
- 飲み始めはしっかり→途中で眠る、というパターンが多い
- 乳首サイズが合っていないと疲れて寝る
- 寝たら10〜15分後に軽く起こして追加を狙うのも◎
4ヶ月:興味が広がり、飲むより遊び・寝るに気持ちが向きやすい
「哺乳瓶拒否かな?」と誤解される時期でもあります。
- 静かな場所で飲ませると集中しやすい
- 抱き方を変えると飲める(→ 角度の工夫)
- 寝る直前の授乳は避ける
5〜6ヶ月:離乳食の影響で飲む量が変動しやすい
離乳食が増えると、ミルクの1回量が減り、途中で寝やすくなります。
- 離乳食後のミルクは少なくて当然
- 寝る子はトータル量を確保できていればOK
- 睡眠リズムの安定も影響(早寝・朝飲みは改善しやすい)
途中で寝る子に“追加で飲ませる”具体的テクニック
途中で寝てしまう赤ちゃんに、無理なく量を確保するための具体的な方法をまとめます。負担にならない範囲で、取り入れやすいものから試してみてください。
① 一度寝かせて「10〜20分後」に再チャレンジ
赤ちゃんは一度眠りに落ちても、浅い眠りのタイミングでそっと哺乳瓶を口元に当てると、自然に吸い始めることがあります。
成功しやすいポイント:
- 完全に深い眠りに入る前の10〜20分が狙い目
- 部屋は明るくしすぎない
- 哺乳瓶は軽く唇に当てる程度でOK
この方法は、ねんね飲みのやり方に近く、起こさずに追加できるため、途中で寝る子との相性が良い方法です。
② ミルクの温度を少しだけ温かくする
ミルクがぬるすぎると、落ち着きすぎて眠気を誘いやすくなります。
目安は38〜40℃程度の「やや温かい」温度。これだけで吸う力が続きやすくなります。
温度調整については、温度調整テクニックも参考にしてください。
③ 抱き方・角度を変えてみる
赤ちゃんがリラックスしすぎる姿勢だと、すぐに眠気が出てしまいます。
おすすめは次のとおりです:
- いつも横抱き → 少し立て抱きにする
- 角度を60〜70度にしてみる
- 手足を軽く動かして「覚醒」を促す
詳しい抱き方のポイントは、飲みやすくなる抱き方で解説しています。
④ 授乳環境の工夫
途中で寝る子には、環境刺激が大きく影響します。
- 暗すぎると寝てしまう → ほんのり明るくする
- 音が静かすぎる → 少し生活音を残すと覚醒維持に◎
- 授乳クッションで角度を安定させる
環境がミルク拒否の原因になるケースもあるため、気になる方は授乳環境の影響も合わせてチェックしてみてください。
途中で寝ても飲ませすぎにならないための量の目安
赤ちゃんが少量ずつ何度も飲むと「合計で多くなりすぎないか?」と心配される方もいます。ここでは飲ませすぎにならないための目安を整理します。
① 月齢別の「適量」を上回らなければOK
飲ませすぎは、ゲップ・吐き戻し・お腹の張りにつながります。適量の範囲を確認しておくと安心です。
月齢別の詳しい量は月齢別ミルク適量まとめに掲載しています。
② 飲んだ直後のサインを観察する
- 苦しそうに息をしていないか
- お腹がパンパンに張っていないか
- 背中を反らせて嫌がっていないか
これらがなければ、たとえ途中で数回に分けて飲んでいても問題ありません。
③ 体重が適切に増えていれば心配不要
途中で寝るタイプの子でも、体重曲線が安定していれば飲めている証拠です。
量が本当に足りないケースは、体重が増えない時のチェックポイントも参考になります。
途中で寝る子にありがちな「よくある誤解」
誤解①:途中で寝る=ミルク拒否
途中で寝るのは、哺乳瓶拒否やミルク拒否とは別の現象です。飲み始めは飲んでいるため、「嫌がっていない」ケースがほとんどです。
本当のミルク拒否のサインは、ミルク拒否の原因一覧で確認できます。
誤解②:毎回飲み切らないといけない
赤ちゃんの飲み方は個性があり、途中で分割して飲む子も多いです。1回ごとの量にこだわる必要はありません。
誤解③:起こさずに寝かせておくのは悪いこと
赤ちゃんが自然に眠りに落ちるのは、ごく正常な反応。無理に起こし続けるほうがストレスにつながることがあります。
途中で寝る子が「注意すべきサイン」
基本的には心配のいらないケースが多いですが、次のような場合は量不足の可能性があります。
- おしっこが極端に少ない(1日4回未満)
- 常にぐずぐずして機嫌が悪い
- 体重が増えない、むしろ減る
- 飲み始めてもすぐ眠る・続かない状態が1週間以上続く
【医療者コメント】医師・産婦人科病棟看護師より
途中で寝てしまう赤ちゃんはとても多く、「性格」や「発達の段階」によるものがほとんどです。無理に起こし続けるより、赤ちゃんのリズムに合わせてトータル量で見てあげると、負担が少なく安定しやすいです。途中で寝ること自体は医学的に問題ではありません。ただし、体重増加・排尿回数・機嫌という3要素は重要です。これらが安定していれば安心できますし、逆にどれかが大きく崩れる場合は量不足や病気のサインの可能性もあります。判断に迷うときは、早めに医療機関に相談して大丈夫です。
ミルクに悩む育児中のパパ・ママへ
途中で寝てしまう赤ちゃんは、とても自然なリズムで生きています。焦らなくて大丈夫。少しの工夫で飲み切りやすくなることも多いので、ゆっくり試しながら進んでいきましょう。あなたの頑張りは、赤ちゃんに必ず伝わっています。今日も本当にお疲れさまです。
この記事が役に立ったら、他の記事も参考にしてみてくださいね。
▶︎目次:ミルク拒否ガイド【保存版】はこちら
🩺この記事の執筆・監修者
📌 執筆者:
元産婦人科病棟看護師/第一子育児中の母
📌 医療監修:
医師/乳幼児・児童発達分野にて勤務経験あり/第一子育児中の父
※個別の診断・治療を提供するものではありません。必要に応じて医療機関へご相談ください。


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