発達バーストでミルクを飲まなくなる理由|成長期に起こる“飲みムラ”の正体
「急にミルクを飲まない」「昨日はよく飲んだのに、今日は全然…」という相談の多くは、じつは“発達バースト(成長スパート)”が原因です。
結論から言うと、発達バーストの時期には赤ちゃんの脳と身体の急激な成長が起こり、刺激に敏感になったり、授乳よりも学びや動きを優先したりするため、ミルクを飲まなくなることがよくあります。
これは異常ではなく、むしろ成長の証。正しいポイントを押さえてサポートすれば、多くの赤ちゃんはまた飲めるようになります。
この記事では、発達バーストとミルク拒否・哺乳瓶拒否の関係を医学的にわかりやすく解説し、今日から試せる実践的な対策をまとめました。
総合ガイドはこちら:
🌟ミルク拒否ガイド【保存版】|原因・対策・哺乳瓶選び・月齢別サポートまとめ
✔ まず押さえたい結論(要点まとめ)
- 発達バーストは脳と身体の急成長が起きる時期
- この時期は刺激に敏感で、授乳への集中が途切れやすい
- 動きたい欲求・学びたい欲求が強く、ミルク量が一時的に減る
- 飲みムラ・遊び飲み・授乳拒否が増えるのはよくある現象
- 数日〜2週間で落ち着くことが多い
発達バーストとは?|なぜミルク拒否が起こるのか
発達バーストとは、赤ちゃんの脳や神経系が一気に発達する時期のこと。
この時期には以下の変化が起こります。
- 視覚・聴覚が急に鋭くなる
- 手足の動きがダイナミックになる
- 周囲のものに強い興味を示す
- 脳の情報処理量が増える
こうした内的変化によって、赤ちゃんは授乳よりも「世界を学ぶこと」に意識を奪われやすくなります。
発達バーストの代表的な時期と特徴
以下は多くの赤ちゃんに共通する「飲まない時期」です。
| 時期 | 起こりやすい変化 | ミルクへの影響 |
|---|---|---|
| 2ヶ月ごろ | 感覚が鋭くなる、生活リズムの変化 | 急に飲まなくなる・途中で泣く |
| 3〜4ヶ月 | 遊び飲み期・気が散りやすい | 哺乳瓶拒否・飲みムラが増える |
| 5〜6ヶ月 | 寝返り・離乳食スタート | 飲む量が減る・飲む姿勢が変わる |
| 7〜8ヶ月 | ハイハイ準備、探索意欲UP | 飲むより動きたい |
| 9〜12ヶ月 | つかまり立ち・模倣遊び | 授乳の優先度が下がる |
各月齢の変化はこちらの記事が参考になります。
発達バーストでミルクを飲まなくなる“医学的な理由”
発達バーストでミルク拒否が起こる背景には、赤ちゃんの脳の働きが大きく関わります。
① 認知負荷(脳の働きの増加)で授乳に集中できない
脳の情報処理量が急増すると、
赤ちゃんは授乳より「見たい・触りたい・動きたい」欲求が上回ることがあります。
- 周囲の音にすぐ反応する
- 哺乳瓶を手で払いのける
- キョロキョロして飲まない
これは哺乳瓶拒否・ミルク拒否の非常に典型的なパターンです。
② 感覚過敏(刺激に敏感になる時期)
発達バーストでは、感覚神経も発達します。
- 乳首の形・硬さが気になる
- ミルクの温度に敏感になる
- 抱き方・角度が合わないと飲まない
感覚が敏感になると、授乳環境の影響が大きくなります。
③ 身体発達(寝返り・ずり這い)で飲む姿勢が合わなくなる
身体が成長すると、これまでの姿勢がしっくりこなくなる時期があります。
- 抱っこで反り返る
- 動きたい気持ちが強くて飲まない
- 足をバタバタして集中できない
姿勢との相性は授乳に大きく影響します。
発達バーストのときに出やすい“飲まないサイン”
以下のような行動が見られる場合、発達バーストの影響が強い可能性があります。
- 哺乳瓶を手で押しのける
- 飲み始めは飲むがすぐ離す
- 授乳中にキョロキョロする
- 途中で泣く・怒る
- 飲む量にムラが大きい
途中で泣く原因はこちらでも解説しています:
飲み始めは飲むのに途中で泣く理由
発達バースト期に“今日からできる”ミルク拒否対策
結論:刺激を減らし、姿勢と環境を整えると飲みやすくなります。
発達バーストでは「集中できない」「動きたい欲求が強い」ことが飲まない原因。
そのため、無理に飲ませようとするより飲みやすい状態をつくることが最も効果的です。
① 刺激を減らした「落ち着く空間」で授乳する
- 照明を落とす(暗めの部屋)
- テレビや会話などの音を減らす
- 授乳中に視界に入るおもちゃを片付ける
脳への入力が減ると、赤ちゃんはミルクに意識を向けやすくなります。
環境づくりについてはこちらも参考に:
授乳環境(匂い・姿勢・温度)の影響
② 授乳前の“落ち着かせルーティン”をつくる
発達バーストでは興奮しやすい状態が続くため、授乳前に「心を整える時間」をつくると効果的です。
- 抱っこでユラユラ1分
- 静かな歌を軽く歌う
- 背中をすーっと撫でる
- おしゃぶりで一度落ち着かせる
詳しい方法はこちら:
ミルク前のルーティン作り(赤ちゃんを落ち着かせる方法)
③ 授乳姿勢を変える(動きたい気持ちに合わせる)
発達バースト期は「動きたい・反り返る」など身体欲求が強くなります。
そのため、赤ちゃんの動きに寄り添った姿勢に変えると飲みやすくなります。
- 縦抱きで授乳
- フットボール抱きで安定させる
- 横抱き+膝の上で反り返りを支える
姿勢の詳細:
飲みやすくなる抱き方・角度
④ 飲む乳首の形・流量を合ったものに変える
発達バーストでは乳首に対する感覚が急に変わることがあります。
- 柔らかい乳首 → しっかり噛みたい時期には合わない
- かための乳首 → 圧が強すぎて途中で嫌がることがある
- 低流量 → 飲むのが疲れてイヤになる
おすすめ記事:
月齢別乳首(ニプル)サイズの選び方
哺乳瓶の穴の形・硬さ・流量で変わる飲みやすさ
⑤ 飲む時間にこだわらず、総量で考える
発達バーストでは一時的に飲む量が減っても自然な現象です。
むしろ以下が保たれているなら心配不要です。
- 数日単位での体重増加が目安に入っている
- おしっこ5〜6回以上
- 機嫌が大きく崩れない
ミルク量の判断についてはこちら:
飲みムラとの付き合い方
発達バーストで飲まなくなる日の“チェックリスト”
以下のチェックが多く当てはまるほど、発達バーストの影響で飲まない可能性が高くなります。
| チェック項目 | はい | いいえ |
|---|---|---|
| 周囲の音・光にすぐ反応する | ○ | × |
| 授乳中にキョロキョロする・落ち着かない | ○ | × |
| 手足バタバタ・反り返りが増えている | ○ | × |
| 昨日から急に飲みムラがある | ○ | × |
| 新しい動き(寝返り・ずり這い)が出始めた | ○ | × |
「はい」が多ければ、発達バーストの影響と考えてよいでしょう。
発達バーストでミルクを飲まない時に“やってはいけないこと”
- 無理に押し込むように哺乳瓶を口にあてる
- 飲まないことを叱る・焦って急かす
- 飲むまでなんども授乳を試す(逆効果)
- 短期間の飲みムラでミルクを頻繁に変える
強く飲ませようとすると、逆に哺乳瓶拒否が悪化することがあります。
哺乳瓶拒否についてはこちら:
哺乳瓶だけ嫌がる赤ちゃんの特徴
まとめ|発達バーストは“飲まない”のではなく“成長している”サイン
- 発達バーストは脳と身体の急成長期
- 刺激に敏感になり、飲むより学びたい気持ちが強くなる
- 遊び飲み・反り返り・飲みムラはよくある現象
- 環境・姿勢・ルーティンを整えると飲みやすくなる
- 数日〜2週間で自然に落ち着くことが多い
不安なときは、総合ガイドを参考にすると全体像がつかめます:
ミルク拒否ガイド【保存版】|原因・対策・哺乳瓶選び・月齢別サポートまとめ
【医療者コメント】医師・産婦人科病棟看護師より
発達バーストは神経発達が急に進む自然な現象で、一時的な摂乳量の低下はよくあります。医学的には、体重増加と全身状態が保たれていれば問題ないことが多いです。ミルク拒否の原因が“発達”にある場合、無理に飲ませるほど悪循環になりやすいため、環境調整と赤ちゃんのペースに合わせることをおすすめします。
授乳中にキョロキョロしたり、急に飲まなくなったりすると「どうしたんだろう」と心配になりますよね。でも、それは赤ちゃんが世界をぐんと広げているサインです。落ち着く環境を整えるだけでスムーズに戻る子が多いので、どうか焦らず見守ってあげてください。
育児に取り組むパパ・ママへ
突然の「飲まない日」は不安になりますよね。でも、赤ちゃんはそのたびにひとつ成長しています。あなたの関わりは必ず赤ちゃんの安心につながっていますよ。どうか自分を責めず、一緒にゆっくり進んでいきましょう。
この記事が役に立ったら、他の記事も参考にしてみてくださいね。
👉 目次:ミルク拒否ガイド【保存版】|原因・対策・哺乳瓶選び・月齢別サポートまとめ
🩺この記事の執筆・監修者
📌 執筆者:
元産婦人科病棟看護師/第一子育児中の母
📌 医療監修:
医師/乳幼児・児童発達分野にて勤務経験あり/第一子育児中の父
※個別の診断・治療を提供するものではありません。必要に応じて医療機関へご相談ください。


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