手足バタバタ期はなぜミルクを飲まない?|原因とすぐできる対策
生後3〜5ヶ月ごろになると、赤ちゃんが授乳中に手足をバタバタさせて落ち着かない、哺乳瓶を払いのける、キックするなどの行動が増えてきます。
「急に飲まなくなった」「遊び飲みなの?」「ミルク拒否なの?」と不安に感じる保護者の方はとても多い時期です。
結論から言うと、手足バタバタ期は『発達が進んできたサイン』であり、多くは心配のいらない一時的なミルク拒否です。
この記事では、なぜバタバタして飲まなくなるのか、医学的な理由と心理的背景、そして今日からできる実践的な対策をまとめました。
- ✔ 結論(要点まとめ)
- 手足バタバタ期とは?発達上なにが起きている?
- 【原因①】注意の切り替えが上手くできず、気が散りやすい
- 【原因②】身体が動きやすくなり、「飲みながら動きたい」
- 【原因③】哺乳瓶が気になって「遊び飲み」に発展
- 【原因④】授乳姿勢が合わない(成長に伴うミスマッチ)
- 【原因⑤】興奮しやすい月齢で、寝起き・寝落ち前以外は飲みにくい
- 【原因⑥】空腹サインが弱く、「まだ飲みたい状態ではない」
- 【原因⑦】ニプルや哺乳瓶が現在の発達に合っていない
- 【原因⑧】発達バーストによる一時的なミルク拒否
- 【チェックリスト】こんなときは様子見でOK
- 【逆に注意】医療相談を検討したいケース
- 【医療者コメント】医師・産婦人科病棟看護師より🌸
- 育児に取り組むパパ・ママへ🌼
✔ 結論(要点まとめ)
- 手足バタバタ期は身体の発達・脳の発達が急激に進む時期に一致する
- 刺激に気づきやすくなり、授乳より周囲への興味が優先されることがある
- 「遊び飲み」「気が散る飲み」「姿勢が合わない飲み」による一時的なミルク拒否が増える
- 抱き方・授乳姿勢・環境調整で多くの赤ちゃんは飲みやすさを取り戻す
- 発達の一部であり、無理に飲ませようとすると逆効果になることも
関連:ミルク拒否ガイド【保存版】|原因・対策・哺乳瓶選び・月齢別サポートまとめ
手足バタバタ期とは?発達上なにが起きている?
生後3〜6ヶ月は運動発達が急激に進む時期で、以下のような変化が起きます。
- 自分の手足の動きを意識的にコントロールし始める
- 周囲の音・光・動きへの注意が強まる
- 体幹が安定してきて、バランスをとる動きが増える
- 興味の幅が広がり、授乳より探索行動が優先されやすくなる
これらの発達が重なることで、赤ちゃんは授乳中でも手足をバタバタさせたり、哺乳瓶を触ったり、周囲をキョロキョロしたりします。
これは「ミルクを嫌いになった」のではなく、脳の成長によって刺激を処理する能力が変化しているために起こる自然な現象です。
【原因①】注意の切り替えが上手くできず、気が散りやすい
生後3〜5ヶ月の脳は、視覚・聴覚・触覚の処理が一気に活発になります。授乳中も以下のように外界の刺激に引っ張られやすくなります。
- 誰かが動くとそちらを見る
- 音がすると体をそちらに向けようとする
- 哺乳瓶より自分の手や服に興味が向く
この「刺激への注意の切り替えの未熟さ」により、授乳に集中できずミルク拒否が起こることがあります。
対策:気が散りにくい環境を作る
- 電気やテレビを消して明るさを落とす
- 授乳スペースを壁側にし、視界情報を減らす
- 静かな環境で抱っこして落ち着かせてから授乳する
【原因②】身体が動きやすくなり、「飲みながら動きたい」
体幹が安定し始めると、赤ちゃんは動きたい欲求が強くなります。授乳中も脚を突っ張ったり、キックしたり、上半身をひねろうとしたりします。
この時期は「飲む行動」と「動きたい欲求」が同時に高まり、飲みたいのに動きたくて落ち着かないというジレンマが行動に現れます。
対策:姿勢を安定させて飲みやすくする
- 縦抱きに切り替える
- バウンサーに軽く座らせて授乳する
- 授乳クッションで体を固定し、手足を自由にさせすぎない
【原因③】哺乳瓶が気になって「遊び飲み」に発展
この時期の赤ちゃんは、手先の発達が進み「触る・つかむ」動作を楽しむようになります。哺乳瓶を触る、ひっぱる、押す、手で払いのけるなどの行動が増え、飲む量が不安定になります。
これは発達の一環であり、異常ではありません。
対策:遊び飲みを減らす工夫
- 授乳の前半でしっかり飲ませる習慣を作る
- 手をにぎれる軽いおもちゃを持たせる(哺乳瓶をつかむ代替行動)
- 哺乳瓶をしっかり支え、赤ちゃんが引っ張れない角度にする
【原因④】授乳姿勢が合わない(成長に伴うミスマッチ)
月齢が進むにつれ、以下の変化が起きます。
- 背中が伸びてくる
- 首がしっかりしてくる
- 横抱きより縦抱きの方が落ち着く
そのため、以前は飲めていた抱き方が合わなくなり、身体をくねらせる・バタバタする・泣くなどのミルク拒否が起きることがあります。
対策:月齢に合わせて姿勢を調整
- 縦抱き中心にしてみる
- 授乳クッションやバスタオルで高さ調整
- 赤ちゃんの動きを妨げない軽いホールド
【原因⑤】興奮しやすい月齢で、寝起き・寝落ち前以外は飲みにくい
生後3〜5ヶ月は脳の覚醒度が高まりやすく、興奮・刺激・遊びたい気持ちが強く出る月齢です。
そのため、次のようなタイミングでは特に飲まないことがあります。
- 昼間の明るい時間帯
- 遊んでいる途中
- 周囲に人がいたり話し声があるとき
- 寝起き直後(覚醒が強い)
いわゆる「気が散る月齢」であり、授乳への集中が難しくなることでミルク拒否が増えます。
対策:飲みやすい“成功しやすい時間帯”を狙う
- 寝起き30〜60分後(最も落ち着きやすい)
- 昼間より夕方・夜の方が飲みやすい場合もある
- 眠気が少しあるタイミング(ねんね飲みも有効)
関連:ねんね飲みのやり方
【原因⑥】空腹サインが弱く、「まだ飲みたい状態ではない」
手足バタバタ期は、授乳のリズムが変化しやすい時期です。前の授乳からの間隔が短く、赤ちゃんがまだ本当に空腹になっていない場合、哺乳瓶をくわえても飲まずに遊んでしまうことがあります。
授乳を“時間で管理しようとすると”ミルク拒否が起こりやすく、バタバタ行動が悪化することもあります。
対策:空腹のサインを優先してみる
以下のサインがあれば、飲む可能性が高いです。
- 手を口に持っていく
- 首を左右に振る
- 授乳姿勢にすると落ち着く
- 哺乳瓶に興味を示す
【原因⑦】ニプルや哺乳瓶が現在の発達に合っていない
手足バタバタ期は口の発達も進むため、以下のズレが起こることがあります。
- 乳首が柔らかすぎて吸いにくい
- 流量が遅くてイライラする
- 硬さや形が合わず、くわえにくい
こうした不一致は「飲めない→怒る→バタバタする」に直結します。
対策:月齢・吸啜力に合ったニプルへ見直す
- S → Mサイズへ切り替え
- 丸穴 → クロスカットにする
- 硬めのニプルに変えてみる
- 別メーカーに変更する(意外と飲めることも)
【原因⑧】発達バーストによる一時的なミルク拒否
いわゆる「発達バースト(成長の前触れ)」の時期には、赤ちゃんは授乳よりも“新しい身体感覚の変化”に意識が向きやすくなります。
手足バタバタも発達バーストの典型的サインのひとつで、授乳量が一時的に減ることがあります。
体重がしっかり増えている、機嫌が良い、睡眠が取れているなら大きな心配は不要です。
【チェックリスト】こんなときは様子見でOK
- 機嫌が良い日が多い
- 体重が増えている(増加曲線に沿っている)
- 遊び飲みだが、1日のトータル量は確保できている
- 眠い・興奮など「飲まない理由」に思い当たる
【逆に注意】医療相談を検討したいケース
- 体重が急に増えなくなった
- 泣きながら強い拒否を続ける
- 哺乳量が極端に減る日が連続する
- 発熱・嘔吐・元気がないなど他の症状がある
【医療者コメント】医師・産婦人科病棟看護師より🌸
手足バタバタ期のミルク拒否は、医療の現場でもとてもよく見られます。これは身体の成長・神経の発達・興奮しやすい月齢が重なったときに起こる自然な変化であり、多くの場合は心配のいらない一時的な現象です。
赤ちゃんの脳は3〜5ヶ月ごろに急速に発達し、刺激に敏感になりやすくなります。授乳に集中できず、哺乳瓶よりも周囲への興味が勝つことも珍しくありません。
現在のミルク拒否が「発達のゆらぎ」であることはよくあり、授乳環境や姿勢を整えるだけで改善するケースがほとんどです。どうかご自身を責めず、赤ちゃんと一緒にペースを見つけていってくださいね。
育児に取り組むパパ・ママへ🌼
手足バタバタ期の授乳は本当に大変です。それでも、赤ちゃんは確実に成長しています。あなたの関わりは赤ちゃんの安心そのものです。どうか無理のない範囲で続けてくださいね。
この記事が役に立ったら、他の記事も参考にしてみてくださいね。
👉目次:ミルク拒否ガイド【保存版】|原因・対策・哺乳瓶選び・月齢別サポートまとめ
🩺この記事の執筆・監修者
📌 執筆者:
元産婦人科病棟看護師/第一子育児中の母
📌 医療監修:
医師/乳幼児・児童発達分野にて勤務経験あり/第一子育児中の父
※個別の診断・治療を提供するものではありません。必要に応じて医療機関へご相談ください。


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