泣きすぎて飲めないときの落ち着かせ方

泣きすぎて飲めないときの落ち着かせ方|原因と今すぐできる対処

赤ちゃんが泣きすぎてミルクを飲めないとき、多くの保護者の方が「どうしたらいいの?」と不安になってしまいます。結論から言うと、飲ませる前に5分以内の“落ち着かせる時間”をつくることで、哺乳反射が整い、ミルク拒否・哺乳瓶拒否の改善につながりやすくなります。

この記事では、泣きすぎて飲めない背景にある医学的理由・授乳技術的なポイント・専門家が推奨する落ち着かせ方を、今日から実践できる形でまとめています。

原因を知ることで不安が軽くなり、行動できるようになるはずです。


✔ 結論:泣きすぎた赤ちゃんには「一度リセット」が必要

泣きすぎている状態では、赤ちゃんの呼吸・筋緊張・哺乳反射が乱れ、ミルクを飲む姿勢や口の動きが整いません。つまり、抱いてすぐ飲ませようとしてもうまくいかないのです。

授乳前に以下の3点を整えると、飲み始めやすくなります。

  • ・呼吸を整える(浅い呼吸 → 深い呼吸へ)
  • ・体の緊張をゆるめる(反り返り ↓)
  • ・哺乳反射が戻るまでの時間をつくる

特にミルク拒否が続いている赤ちゃんは、過刺激や姿勢の不快感で泣きやすいため、授乳前のリセットが役立ちます。

より詳しい原因については以下の記事も参考になります。


泣きすぎると飲めなくなる医学的な理由

赤ちゃんが強く泣き続けると、呼吸リズムや筋緊張が乱れ、次のような状態になります。

状態 説明
過換気(浅く速い呼吸) 酸素を取り込もうとして呼吸が浅くなり、哺乳のリズムが作れない。
筋緊張の上昇 反り返りや身体のこわばりが強くなり、抱きや姿勢が安定しない。
哺乳反射の低下 吸啜(きゅうてつ)反射が戻るまで数分かかる。
嚥下のタイミングが乱れる 飲み込みづらくむせやすくなる。

つまり、泣き続けたあとにミルクを見せても、赤ちゃんが「飲みたいのに飲めない」という状態に陥ってしまうことがあります。


【重要】泣きすぎた赤ちゃんを落ち着かせる5ステップ

ここからは、今日から実践できる「落ち着かせるプロセス」を紹介します。どれも医学的根拠に基づいた、安全かつ効果の高い方法です。

① まず抱っこを変えて“深呼吸を誘導”する

深い呼吸ができる姿勢を整えることで、泣きのピークが落ち着きやすくなります。

  • ・縦抱きで背中をゆっくりトントン
  • ・肩に預けるようにして体を丸める
  • ・反り返りが強い時は「Cカーブ」(背中が少し丸くなる姿勢)に調整

体が大きく反っていると、哺乳瓶拒否が起こりやすくなります。詳しくは以下も参考にしてください。

抱っこを嫌がる・反り返るときの授乳拒否

② 刺激を減らす(光・音・匂い・温度)

赤ちゃんは刺激にとても敏感で、泣きすぎると更に敏感になります。

  • ・電気を少し暗くする
  • ・テレビやスマホ音を消す
  • ・授乳スペースを移動する(別室や静かな場所へ)

授乳環境の影響については下記記事も役立ちます。

授乳環境(匂い・姿勢・温度)の影響

③ 体をゆっくり揺らし、筋緊張をゆるめる

抱っこしたまま「1秒に1回のゆっくりスウィング」が最も落ち着きやすいとされます。

ポイント:

  • ・揺れは大きくしない
  • ・縦揺れではなく、横揺れ(左右)

この動きは筋緊張を下げ、反り返りを和らげて哺乳しやすい姿勢につながります。

④ 口元を少し触る(吸啜反射を呼び戻す)

泣きすぎると吸啜反射が弱まるため、口元の刺激が役立ちます。

  • ・ほっぺの横を軽くつつく
  • ・唇に乳首(ニプル)をそっと当てる
  • ・指を少しだけ口角に触れさせ、吸う動きが出るか確認

この過程を挟むことで「飲むスイッチ」が入りやすくなります。

⑤ 飲ませるのは“落ち着いてから”

泣きが止まってから30〜60秒待つと、呼吸と反射が整い、飲みやすくなります。

焦ってすぐ飲ませると、むせたり、余計に嫌がりミルク拒否につながりやすいため注意しましょう。


【チェックリスト】落ち着かせてから飲ませたほうがよいサイン

  • ✔ 顔が真っ赤になるほど泣いている
  • ✔ 呼吸が浅く、ハアハアしている
  • ✔ 体を反らせて嫌がる
  • ✔ 哺乳瓶を見るだけで泣き出す
  • ✔ 口を開けようとしない

これらが見られる時は、まず飲ませるより落ち着かせることを最優先してください。


泣きすぎて飲めないときに「やってはいけない」対応

焦る気持ちからついやりがちな行動ですが、以下は逆効果になりやすいです。

NG行動 理由
むりやり口に入れる さらに泣き、哺乳瓶拒否の固定化につながる。
泣いている途中に角度を変え続ける 体勢が不安定になり、緊張が高まる。
すぐ温度を上げたり下げたりする 温度変化が逆に刺激となり拒否が悪化する。

月齢別:泣きやすさと飲めなくなる理由の違い

月齢によって「泣きすぎて飲めなくなる理由」は異なります。赤ちゃんの発達段階に合わせた理解が大切です。

月齢 特徴と泣いて飲めない理由
0〜1ヶ月 刺激に弱く、姿勢不安定。泣くと呼吸が乱れやすい。
2〜3ヶ月 環境の変化に敏感。途中で泣く・遊び飲みが始まりやすい。
4〜6ヶ月 反り返り期。興味が散りやすく、授乳に集中しづらい。
7〜12ヶ月 意思表示が強くなり、嫌な姿勢・温度だと泣き続けて飲まない。

月齢別の詳しい原因は以下の記事でも確認できます。


泣きすぎて飲めないときに役立つ「補助テクニック」

① 少量だけ口に触れさせる(導入刺激)

いきなり飲ませようとせず、乳首の先にほんの少しだけミルクを付けて唇に触れさせると、舌の動きが戻りやすくなります。

② 一度5分ほど抱っこ散歩

泣き続けた状態では、同じ環境にいると刺激を受け続けるため落ち着きにくいことがあります。少し歩くだけでリセットが入ることが多いです。

③ ねんね飲みを活用

どうしても飲まない日や、泣きすぎてしまう日は、ねんね飲みが有効な場合があります。

※毎回の使用は推奨しませんが、一時的なミルク拒否の緩和には役立ちます。


よくある誤解:泣く=空腹ではないことが多い

多くの保護者が「泣く → お腹がすいた」と考えがちですが、医学的には次のような理由で泣くケースが非常に多いです。

  • ・過刺激、眠気、不快感
  • ・反り返りによる姿勢の不安定さ
  • ・母乳とのバランスの変化
  • ・温度が合わない

特に授乳環境が原因の場合は、以下の記事も参考になります。

授乳環境(匂い・姿勢・温度)の影響


泣きすぎて飲めない → ミルク拒否につながる流れ

泣きすぎた状態で哺乳瓶に触れ続けると、赤ちゃんは「哺乳瓶=不快」という学習をしてしまい、ミルク拒否が長引きます。

この悪循環を防ぐためにも、飲ませる前に落ち着かせる時間を必ず挟むことが大切です。

根本的な原因は以下の記事でより深く理解できます。


【まとめ】泣きすぎて飲めないときは“飲ませる前の5分”が勝負

  • ✔ まず赤ちゃんを落ち着かせる
  • ✔ 呼吸・筋緊張・姿勢をリセット
  • ✔ 哺乳反射が戻るまで待つ
  • ✔ その後に少しずつ哺乳を誘導する

この流れを習慣にすると、ミルク拒否や哺乳瓶拒否の改善につながることが多いです。

より広い視点で対策を知りたい場合は、ミルク拒否ガイド【保存版】|原因・対策・哺乳瓶選び・月齢別サポートまとめも参考にしてください。


【医療者コメント】医師・産婦人科病棟看護師より🌸

泣きすぎた赤ちゃんは、まず抱っこで安心感を取り戻すことが大切です。授乳がうまくいかないと保護者の方も不安になりますが、少し環境を整えるだけで飲めるようになるケースを多く見てきました。

泣きすぎると呼吸リズム・筋緊張・嚥下のタイミングが乱れ、飲みたいのに飲めない状態になります。これは一時的なもので、多くの場合、数分の落ち着かせで改善します。焦らず「飲ませる前の準備」を重視してください。


育児に取り組むパパ・ママへ🌼

毎日の授乳は本当におつかれさまです。泣いて飲めない日があっても、あなたの接し方は確実に赤ちゃんに届いています。焦らず、ゆっくり進んでいきましょうね。


この記事が役に立ったら、他の記事も参考にしてみてくださいね。

👉 目次:ミルク拒否ガイド【保存版】|原因・対策・哺乳瓶選び・月齢別サポートまとめ

🩺この記事の執筆・監修者

📌 執筆者:
元産婦人科病棟看護師/第一子育児中の母

           

📌 医療監修:
医師/乳幼児・児童発達分野にて勤務経験あり/第一子育児中の父

※個別の診断・治療を提供するものではありません。必要に応じて医療機関へご相談ください。

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