飲むのが遅い赤ちゃん向けの乳首(ニプル)選び

飲むのが遅い赤ちゃん向けの乳首(ニプル)選び|原因と対策まとめ

「ミルクを飲むのがとても遅い」「30分以上かかって途中で疲れてしまう」──そんな悩みをもつパパ・ママは少なくありません。結論から言うと、飲むのが遅い赤ちゃんには“赤ちゃんに合ったニプル選び”が最も重要です。

ニプルの硬さ・穴の形・流量が赤ちゃんに合わないままだと、ミルク拒否や哺乳瓶拒否、飲みムラ、途中で泣き始めるなどのトラブルにつながることがあります。

この記事では、飲むのが遅い赤ちゃんの特徴と、今日からできるニプル選び・授乳改善のコツをまとめました。より詳しい原因を知りたい場合は、ミルク拒否の原因一覧授乳環境の影響 も参考になります。


✔ 結論:飲むのが遅い赤ちゃんは「流量・硬さ・形状」を見直すだけで改善することがある

飲むのが遅い赤ちゃんは、以下のいずれかが当てはまっていることが多いです。

  • ニプルの穴が小さく、赤ちゃんの吸引力に対して流量が足りない
  • 硬いニプルでうまく圧をかけられず、乳首がつぶれない
  • 丸穴・スリーカットなどの形状が赤ちゃんの癖に合っていない
  • ニプルサイズ(月齢目安)が合っておらず、必要以上に吸わされている
  • 途中で疲れて寝落ちし、授乳時間が伸びてしまう

特に「月齢が上がっても新生児サイズのまま使っている」ケースは非常に多く、流量不足 → 飲むのが遅い → 疲れてミルク拒否という悪循環になりがちです。

まずはニプルの基本を押さえると、選び方がぐっと簡単になります。


ニプルの選び方の基本|流量・硬さ・形状で決まる

飲むのが遅い赤ちゃんは、次の3つを見直すだけで改善しやすくなります。

① 流量(穴の大きさ・カット)

メーカーによって流量の基準はさまざまですが、一般的には以下の順で流量が増えます。

種類 特徴 飲むのが遅い子との相性
丸穴(ラウンド) 一定量が出る。飲む力が弱くても出やすい 相性◎:弱い吸引でも負担が少ない
Y字・スリーカット 吸う力によって量が変わる △:吸い続ける力が弱い子は疲れやすい
クロスカット 大きい流量、月齢大きめ向け ×:早すぎてむせることがある

飲むのが遅いタイプは「丸穴」か「流量の小さめのスリーカット」が合うことが多いです。

関連:哺乳瓶の穴の形・硬さ・流量で変わる飲みやすさ

② 硬さ(素材の柔らかさ)

柔らかすぎると「つぶれて吸えない」、硬すぎると「吸うのがしんどい」という場合があります。

メーカー例(実名OKのため記載):

  • ピジョン 母乳実感:やわらかめ。母乳寄りの吸い方が得意な赤ちゃん向け
  • ピジョン 母乳相談室:硬め。吸啜訓練向けで、飲むのがゆっくりになることも
  • ドクターベッタ:やや硬め。しっかり吸う力のある子に向く
  • NUK:乳首の形状が独特で、合う子にはとても飲みやすい

飲むのが遅い子は「ほどよいやわらかさ」で、つぶれにくいタイプが合いやすい印象です。

③ 形状(丸型・楕円型・母乳形状)

形状が合わないと、赤ちゃんが深くくわえられず、吸うたびに空気が入りやすくなります。

  • 丸型:吸う力が弱い子でも扱いやすい
  • 母乳形状:深いくわえ方ができる子に向く
  • 平らな形:舌の動きに特徴がある子に合うことも

形状の合う・合わないは赤ちゃんの“個性”なので、試してみる価値があります。


飲むのが遅い理由|赤ちゃん側と環境側の両面から整理

「単にスピードが遅いだけ?」と思われがちですが、実は理由はいくつもあります。
より詳しく知りたい方は ミルク拒否の原因一覧 も役立ちます。

✔ 赤ちゃん側の理由

  • 吸う力が弱い(月齢・体格・癖による)
  • 乳首をつぶすのが苦手で、圧をかけられない
  • 途中で疲れて眠くなる
  • 途中で空気を飲みすぎて苦しくなる
  • 成長バーストで集中できない(→ 発達バーストで飲まなくなる理由

✔ 環境側の理由

  • ミルク温度が低く、飲むテンポが落ちている
  • 抱き方が浅くてくわえが浅くなる(→ 飲みやすくなる抱き方
  • 周囲の刺激が多くて気が散る
  • 授乳前に泣きすぎて疲れている

こうした理由が重なると、1回の授乳に25〜40分かかるケースも珍しくありません。

月齢別|飲むのが遅い赤ちゃんに合いやすいニプルの選び方

月齢によって必要な吸う力やミルク量が変わるため、「月齢目安+赤ちゃんの飲み方」の2軸で選ぶことが大切です。

より詳しい月齢ごとの授乳変化は、月齢ごとの授乳姿勢の変化と嫌がる理由 も参考になります。

月齢 特徴 合いやすいニプルの傾向
0〜1ヶ月 吸う力が弱め。途中で疲れやすい 丸穴・小流量・柔らかすぎない素材
2〜3ヶ月 飲む量が増えるが、吸う持久力はまだ弱い 丸穴〜小さめスリーカット。流量を上げすぎない
4〜5ヶ月 遊び飲み・集中困難で飲むのが遅くなりがち やや大きめ流量。ただしむせがない範囲で
6ヶ月〜 舌や口の動きが発達し、好みが出る 丸穴・Y字どちらも試す価値あり

2〜3ヶ月頃に急にペースが落ちる場合は、
2ヶ月で急に飲まなくなる理由」の記事も参考になります。


飲むスピードを上げるためのニプル選びチェックリスト

次のようなチェックを行うと、改善ポイントがわかりやすくなります。

  • ✔ ミルクが少しずつ垂れる程度の流量になっている
  • ✔ くわえたとき、ニプルがつぶれない
  • ✔ 飲み始めの数分はテンポよく飲めている
  • ✔ 途中で空気を飲んで苦しそうにならない
  • ✔ ニプルを変えると飲むスピードが変わる

1つでも当てはまらない場合は、ニプルの流量または硬さが合っていない可能性があります。


メーカー別|飲むのが遅い子に合いやすい傾向

あくまで一般的な傾向ですが、赤ちゃんの飲み方の特徴に合わせてメーカーを選ぶと改善しやすくなります。

  • ピジョン 母乳実感:柔らかめで吸啜リズムが乱れにくい。飲むのがゆっくりの子でも扱いやすい
  • ピジョン 母乳相談室:やや硬めで、吸う練習向け。飲む速度はゆっくりめになりやすい
  • ドクターベッタ:やや硬い&角度のついたボトルで、空気を飲みにくい子に向く
  • NUK:面の広いニプルで舌の動きに特徴がある子に合うことがある

必ずしも高価なニプルが良いわけではなく、赤ちゃんの飲み方との相性が最優先です。

相性について詳しく知りたい場合は
月齢別乳首サイズの選び方
飲みムラがある赤ちゃんの哺乳瓶選び
も参考になります。


飲むのが遅い赤ちゃんへの実践テクニック

① 飲み始め5分を観察して“流量が合っているか”判断する

飲み始めの5分で以下を確認します。

  • テンポよく飲めている → 流量が合っている
  • 吸っても出る量が少ない → 流量が小さい可能性
  • むせる・早すぎる → 流量が大きい可能性

飲み始めを観察するだけでも、ニプル選びの失敗が減らせます。

② 抱き方を変えると飲むペースが早くなることも

浅く抱くと空気が入りやすく、飲むのが遅くなることがあります。
飲みやすくなる抱き方・角度 にあるように、角度調整で改善することは多いです。

③ ミルクの温度を見直す

温度が低いと飲むスピードが極端に落ちることがあります。
「いつもより遅い」と感じたときは、温度調整のコツ も参考にしてください。

④ 途中で飲み疲れする子は“休憩を入れる”と飲み切れる

特に月齢が低い赤ちゃんは、一定のリズムで疲れてしまいます。
げっぷを挟む・体勢を軽く変えるだけでも後半がスムーズになります。

⑤ ニプルを変更したのに改善しない場合は“相性”の問題のことが多い

ニプルを変えた途端にスムーズに飲むケースは非常に多く、
そのような例は → 哺乳瓶を変えたら飲んだ理由 にもまとめています。


ニプル変更のタイミング|どのくらいの期間試すべき?

ニプル変更の目安は次のとおりです。

  • 3回試して改善なし → 別タイプへ切り替え
  • むせる・苦しそう → すぐ元に戻す
  • 飲むスピードが上がった → そのまま継続

「なんとなく合わないかも…」という直感は意外と当たるため、
数種類をローテーションで試して決めるのも良い方法です。


【まとめ】飲むのが遅い赤ちゃんは“相性の良いニプル”で劇的に変わる

飲むのが遅い赤ちゃんは、次のポイントを見直すだけで大きく改善することがあります。

  • ✔ 流量が赤ちゃんに合っているか
  • ✔ ニプルの硬さが適切か
  • ✔ 形状(丸穴・Y字)と相性がどうか
  • ✔ 姿勢・温度・環境も整っているか

「赤ちゃんのせいではなく、ニプルとの相性の問題である」
この視点を持つだけで、ミルク時間がぐっと楽になります。

ミルク拒否全体の整理は → ミルク拒否ガイド【保存版】 にまとめています。


【医療者コメント】医師・産婦人科病棟看護師より

看護師として多くの赤ちゃんを見てきましたが、「飲むのが遅い」は決して珍しいことではありません。むしろ、発達や個性が反映されていることが多く、ニプルとの相性を整えるだけで大きく変わるケースが多いです。また、途中で泣いたり飲めなくなる場合は、環境や姿勢の調整で改善することもあります。
医学的な視点では、むせが強い・明らかに疲れすぎるなどが続く場合は、哺乳力の評価が必要になることもありますが、多くは家庭で十分対応できます。


育児に取り組むパパ・ママへ

赤ちゃんの飲み方には個性があります。ゆっくりでも、その子のペースで飲めていれば大丈夫。焦らず、一緒に合う方法を探していきましょうね。


この記事が役に立ったら、他の記事も参考にしてみてくださいね。
▶︎目次:ミルク拒否ガイド【保存版】

🩺この記事の執筆・監修者

📌 執筆者:
元産婦人科病棟看護師/第一子育児中の母

           

📌 医療監修:
医師/乳幼児・児童発達分野にて勤務経験あり/第一子育児中の父

※個別の診断・治療を提供するものではありません。必要に応じて医療機関へご相談ください。

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