母乳とミルク混合時の量の目安|月齢別の適量と安全な調整方法
「どれくらいミルクを足せばいい?」「母乳量がわからないから目安が欲しい」「混合育児だとミルク拒否が起きやすい?」——そんな悩みを抱える保護者の方はとても多いです。
結論:混合育児では母乳を“基本”とし、足りない分を1回20〜60mlの範囲でミルク追加するのが安全です。月齢ごとの胃容量・母乳分泌・赤ちゃんの飲み方に合わせて、少しずつ調整していく方法が最も無理がありません。
この記事では、新生児〜6ヶ月頃までの混合育児における量の目安と、ミルク拒否を起こさないためのコツを、今日から実践できる形でわかりやすくまとめました。
混合育児でミルクを拒否してしまう原因は、混合育児でミルク拒否が起こる理由に詳しくまとめていますので、あわせて読むと理解が深まりやすいです。
混合育児の「基本の考え方」
母乳とミルクを併用するときは、次の3つが重要になります。
- ① 母乳はあくまで“欲しがるだけ”吸わせる
- ② ミルクは不足分を補う役割(補完)
- ③ 1回の追加量は多すぎないようにする
母乳量は日によって揺れやすく、「今日飲める量=明日も同じ」とは限りません。そのため、赤ちゃんの飲み具合に合わせて、ミルク量をゆるやかに変える方法が安心です。
母乳とミルクのバランスが崩れたときに起こるミルク拒否については、母乳とのバランスで起こるミルク拒否も参考になります。
【月齢別】混合育児の量の目安
ここでは、母乳を与えた後に追加するミルク量の、おおまかな“安全ライン”を示します。母乳量は測定が難しいため、あくまで「よくある飲み方の傾向」として参考にしてください。
| 月齢 | 1回の追加ミルク量の目安 | 1日の合計の目安 |
|---|---|---|
| 新生児〜1ヶ月 | 20〜40ml | 200〜400ml |
| 1〜2ヶ月 | 30〜60ml | 300〜500ml |
| 2〜3ヶ月 | 40〜80ml | 400〜600ml |
| 3〜4ヶ月 | 40〜100ml | 400〜700ml |
| 4〜6ヶ月 | 50〜100ml | 400〜700ml(離乳食によって変動) |
※あくまで一般的な目安であり、母乳量・赤ちゃんの体重・飲み方のクセで大きく変動します。
より詳細な月齢別の飲む量は月齢別ミルク量の目安まとめでも解説しています。
混合育児で「ミルクを足すべきサイン」
次のサインが複数ある場合は、母乳だけでは不足している可能性があります。
【チェックリスト】
- 授乳後も泣き続ける・手を口に入れる
- 授乳間隔が1〜2時間以下で短すぎる
- 体重の増えが70g/週未満が続く
- 授乳後にすぐ寝てしまい満量飲めていない
- おしっこの回数が少なめ(5回未満)
体重の増加が少ない場合は、体重増加が少ない場合の量の調整も合わせて読むと判断しやすくなります。
混合育児で量を調整するときのポイント
「追加量を増やしたい・減らしたい」という時は、次の順番で進めるのが安全です。
① 10〜20ml単位で微調整
一気に30〜60ml増やすと、胃の容量が追いつかず吐き戻し・反り返り・途中で泣くなどのミルク拒否が起きやすくなります。
② 飲める時間帯に合わせて増やす
多くの赤ちゃんは朝〜午前中が最も飲みやすいため、そこに少し上乗せするのが効果的です。
③ 母乳→ミルクの順番を基本とする
母乳は吸わせることで分泌が増えるため、混合育児では原則として「母乳→ミルク」の順が最も安定します。
④ 哺乳瓶拒否がある場合は原因ケアを優先
量の調整よりも、哺乳瓶拒否の背景にある原因を見直す方が改善が早いことがあります。
たとえば、
- ニプルサイズが合っていない
- 温度が冷たい・熱すぎる
- 授乳姿勢が合わない
哺乳瓶拒否の詳細は哺乳瓶だけ嫌がる赤ちゃんの特徴や、授乳環境(匂い・姿勢・温度)の影響が参考になります。
ミルク拒否を避けながら量を増やすコツ
混合育児は、母乳量の変動や哺乳瓶の違和感でミルク拒否が起こりやすくなります。次は、拒否を避けつつ量を増やすための具体的な方法です。
① ミルク追加のタイミングを変える
母乳が多く出る授乳直後に足すと飲みにくくなる場合があります。15分ほど間を空けるだけでも改善することがあります。
② 哺乳瓶の種類・ニプルを見直す
混合育児では、母乳に近い形・柔らかさのニプルを選ぶと拒否が減りやすいです。
哺乳瓶比較はミルク拒否におすすめの哺乳瓶比較も参考になります。
③ 授乳姿勢を整える
特に混合の子は姿勢の影響を受けやすいため、抱き方の工夫が役立ちます。詳細は飲みやすくなる抱き方・角度にまとめています。
④ 飲みやすい温度にする
母乳に近い「38〜40度」が飲みやすく、冷たすぎると途中で泣くことがあります。
温度調整はミルクの温度調整テクニックに詳しく解説しています。
【月齢別】混合育児の量の調整ポイント
混合育児は「母乳量の変動が大きい」「日ごとの飲みムラがある」などの特徴があります。ここでは月齢ごとに、調整のポイントをわかりやすくまとめました。
新生児〜1ヶ月
- 母乳は欲しがるだけ授乳し、足りない分を20〜40ml追加
- 授乳回数は1日8〜10回でOK
- 泣きが強いときは最初にミルク数十mlで落ち着かせる方法も
より詳しい飲み方の特徴は、【新生児~1ヶ月】ミルクがうまく飲めない原因を参考にできます。
1〜2ヶ月
- 追加量は30〜60ml
- 授乳間隔が短すぎ(1〜2時間)なら追加量を「少し増やす」判断が必要
- 飲める時間帯がはっきりしてくる
2〜3ヶ月
- 追加量は40〜80ml
- ミルク拒否が起こりやすい時期なので無理に増やさない
- 飲みムラは自然なことが多い
突然飲まなくなるケースについては【2ヶ月】急にミルクを飲まなくなる原因と対策が役立ちます。
3〜4ヶ月
- 追加量は40〜100ml
- 空腹よりも「眠気」や「周囲の刺激」が勝つ時期
- 飲ませる時間帯・環境を整えるのが効果的
途中で泣く・遊び飲みは【3ヶ月】遊び飲み・途中で泣く際の対処でも詳しく解説しています。
4〜6ヶ月
- 追加量は50〜100ml
- 離乳食が始まり、ミルク量が大きく減る子もいる
- 体重の増えと機嫌を優先して判断
離乳食が影響して飲まない場合は【5~6ヶ月】離乳食開始後のミルク拒否と対処が参考になります。
混合育児の1日のスケジュール例
混合育児では「どの授乳でミルクを足すか」が迷うポイントです。以下は、一般的に安定しやすいタイムスケジュール例です。
【例:生後1〜3ヶ月】
- 06:00 母乳+ミルク(少なめ)
- 09:00 母乳
- 12:00 母乳+ミルク(しっかり)
- 15:00 母乳
- 18:00 母乳+ミルク(しっかり)
- 21:00 母乳
- 夜間1〜2回 母乳中心
夜は母乳中心にすると眠りやすく、日中はミルクを併用することで量を稼ぎやすいパターンです。
混合育児で起こりがちなトラブルと対策
① 母乳が減った気がする
母乳は「需要と供給」のため、飲む量が減ると分泌量が一時的に減ることがあります。解決策は次の通りです。
- 母乳を吸わせる回数を少し増やす
- 10〜15分の片側授乳→逆側を追加
- 夜間授乳を活用
② 哺乳瓶だけ拒否する
混合育児の子に多いパターンです。原因は「母乳と乳首の感触の違い」が大きく、以下の見直しが効果的です。
- 母乳寄りの柔らかいニプルへ変更
- ミルクはやや温かめに
- 抱き方・角度を見直す
詳細は混合栄養で哺乳瓶だけ拒否する時の対策を参考にできます。
③ 母乳を飲んだ後はミルクを飲まない
母乳がたっぷり出るタイミングは、追加ミルクが入りにくくなります。その場合は、次の授乳でミルクを少し増やす「時間帯調整」が有効です。
混合育児の量を決める最重要ポイント
実際に外来で最も強調するポイントは、次の2つです。
① 体重の増え方(週の増加量)
| 月齢 | 週当たりの増加目安 |
|---|---|
| 新生児〜3ヶ月 | 150〜200g |
| 3〜6ヶ月 | 120〜150g |
| 6ヶ月以降 | 80〜120g |
この範囲より少なければ、ミルク追加を検討します。
② 赤ちゃんの機嫌・睡眠・おしっこの状態
体重がやや少なくても、機嫌・睡眠・おしっこが安定していれば、無理に量を増やす必要がないケースもあります。
医療機関に相談すべき場合
- 1〜2週間で体重がほとんど増えない
- ミルクを足しても泣き止まない
- 明らかに哺乳量が減っている
- おしっこの回数が4回未満
- ぐったりしている・元気がない
受診目安はミルク拒否で受診すべき症状にも詳しくまとめています。
まとめ|混合育児は「赤ちゃんのペースに合わせて」量を調整すれば大丈夫
母乳とミルクの混合育児は、日によって飲める量が変わりやすく悩むことも多いですが、次のポイントを押さえると安定しやすくなります。
✔ 追加ミルク量は10〜20ml単位で調整
✔ 飲みやすい時間帯(午前中)を活かす
✔ 母乳→ミルクの順を基本にする
✔ ミルク拒否の原因を先に取り除く
この4つを意識するだけで、赤ちゃんの負担を減らしながら無理なく混合育児を進められます。
【医療者コメント】医師・産婦人科病棟看護師より
混合育児は「母乳量がわからない」「どれだけ足せばいいかわからない」と悩む方が非常に多いですが、量は少しずつ調整していけば大丈夫です。看護の視点からも、赤ちゃんの機嫌・尿量・体重の変化を丁寧に見ることが最も確実な方法といえます。医学的にも過剰に心配する必要はなく、赤ちゃんのペースに合わせた微調整が最も安全です。
ミルク拒否に悩むパパ・ママへ
育児は毎日が試行錯誤の連続ですが、頑張りすぎなくて大丈夫です。赤ちゃんを大切に思う気持ちがあれば、それが何よりの力になっていますよ。
この記事が役に立ったら、他の記事も参考にしてみてくださいね。
▶︎目次:ミルク拒否ガイド【保存版】はこちら
🩺この記事の執筆・監修者
📌 執筆者:
元産婦人科病棟看護師/第一子育児中の母
📌 医療監修:
医師/乳幼児・児童発達分野にて勤務経験あり/第一子育児中の父
※個別の診断・治療を提供するものではありません。必要に応じて医療機関へご相談ください。


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